長野県出身。1986年生まれ。映画アドバイザーとして、映画サイトへの寄稿・ラジオ・web番組・イベントなどに多数出演。『GO』『ファイト・クラブ』『男はつらいよ』とウディ・アレン作品がバイブル。
映画アドバイザーのミヤザキタケルが、各月の初放送作品の中から見逃してほしくないオススメの3作品をピックアップしてご紹介! これを読めばあなたのWOWOWライフがより一層充実したものになること間違いなし!のはず...。
別冊マーガレットに連載されていた幸田もも子原作コミックを映画化。監督は実写版『君の膵臓をたべたい』(‘17)の月川翔。俗に言う“キラキラ映画”だと高をくくり敬遠している方が多いかもしれませんが、侮るなかれ。本作はあなたの心に想定外のときめきと感動を与えてくれることでしょう。恋に焦がれる女子高校生の佐丸あゆは(浜辺美波)と、冷静沈着で生徒に深入りしようとしない数学教師、弘光由貴(竹内涼真)の一風変わった恋愛模様を通し、真っすぐな想いこそ真に人の心を突き動かすのだということを感じさせてくれる作品です。
現実的に考えたら、「教師がそんな発言したらマズいでしょ」など、ツッコミ出したらキリがない。だけど、常に全身全霊で主人公たちの葛藤を描き出し、非現実的なストーリー展開の違和感など帳消しにしてしまう。気付けばキラキラ映画うんぬんの問答など忘れ去り、楽しみながら観てしまうはず。
漠然と「恋がしたい」と思っているうちは、なかなか本物の恋には巡り合えない。劇中のあゆはのように、あんなにも誰かに「好き」と言ったことが、弘光のように、あんなにも誰かに「好き」と言われたことがあなたにはあるだろうか。一歩間違えればストーカーの領域だが、彼女の「好き」はただひたすらに真っすぐである。そして、あそこまで想いを貫くためには勇気がいる。その勇気を絞り出すことがいかに困難であるかを知っている僕たちだから、観ていて彼女を応援したくなってしまう。
何かに本気で取り組んでいる人は、周囲に何かしらの影響を及ぼすもの。その光を浴び続けた者も、輝きを放てるようになっていく。あゆはが放つ強烈な輝きを浴び続ける弘光の心もまた変化を余儀なくされる。人の想いが他者の心へと染みわたっていく過程を僕たちは垣間見る。ポスタービジュアルなどの軽さとは裏腹に、芯のある恋愛の機微を描いた良作です。余計な偏見を取っ払い、ぜひチェックしてみてください。
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