亀田誠治を中心にまさにボーダレスな顔ぶれが集結! 初開催「日比谷音楽祭」レポート

2019/06/03 22:00 配信

音楽

ここまでカッコよくギターを弾くアーティストはこの人しかいない


圧倒的な存在感を放った布袋寅泰


ギターのミュートされた最初の一音で十分だった。布袋寅泰「BATTLE WITHOUT HONOR OR HUMANITY」のお通りだ。野音のステージってこんなに小さかったっけ? 圧倒的な破壊力。この曲は、阪本順治監督「新・仁義なき戦い」、そしてクエンティン・タランティーノ監督「キル・ビル」のテーマ曲として使用され世界的な知名度を得ているのはご承知の通り。それはつまり、ボーダーを超えていくというテーマを体現している楽曲ということに他ならない。音としてもスタイルとしても、ここまでカッコよくギターを弾くアーティストはこの人しかいないということを再認識した。

昨年のNHK紅白歌合戦でも競演した石川さゆり、布袋寅泰(左から)


布袋の呼び込みで登場したのは、なんと、ジャパニーズ・ソウル・シンガー、石川さゆり。「みなさん、こんばんは」の一言で空気がキリッと締まる。石川さゆり布袋寅泰と並び立てば、昨年のNHK紅白歌合戦で実現した「天城越え」しかないだろう。篠笛や尺八、鼓といった和楽器と布袋のエレキギター、そして何より石川さゆりの歌声が何もかもを飛び越えて混ざり合う驚異のコラボレーションだ。ラストは、「ソーラン節」。民謡をモチーフに制作された石川さゆりのコンセプチュアル・アルバム「民〜Tami〜」の2曲目に収録されており、布袋がギターで参加し、亀田がプロデュースを担当している。リズムがずっしりと腹の底に響き、石川さゆりのソウルフルなボーカルが腰にくる。会場はいつの間にか、“ソーラン ソーラン”の大合唱! 民謡のパワー、恐るべし。我々のDNAに植え付けられた何百年の音楽の記憶が覚醒していくようだ。

この強力な余韻は、間違いなく明日に続いていくだろう。

取材・文●谷岡正浩