周防正行監督「活動写真の“アクション映画”を楽しんで」

2019/06/14 06:15 配信

映画

映画「カツベン!」への思いを語った周防正行監督


周防正行監督が、12月13日(金)に全国公開する映画「カツベン!」をアピールするため47都道府県を回る全国行脚「周防正行の日本全国しゃべくり道中」を行うことになり、6月13日に北海道・さっぽろ羊ヶ丘展望台で出発式を行った。

本作は今からおよそ100年前、「映画(活動写真)」がまだサイレントでモノクロだった頃が舞台。日本では楽士の奏でる音楽とともに独自の“しゃべり”で物語をつくりあげ、観客たちを映画の世界に誘い、熱狂させていた活動弁士、通称“活弁”(カツベン)の活躍を描く。

周防監督が語る“活弁”への思い


活動写真は、当時の人にとっては最先端エンターテインメントだったんですね。これが映画のスタート。でも、スクリーンの横に人が立って、解説しながら見せたということ、その解説する人を活動弁士と言っていたことを、多くの人は知らない。僕自身も知りたいし、皆さんにも知ってもらいたいと思いました。

活動弁士という人の解説で映画を見せるスタイルは、日本独特のもの。世界でもスクリーンの後ろに人が立って、役者さんに合わせてせりふを言うとか、そういうことはあったんですが、アメリカでもヨーロッパでも定着しなかったんです。ところが日本ではそのスタイルが定着し、発展した。それを知って驚きました。

(「カツベン!」の)脚本自体もそういうことを根幹に据えながら、かつての活動写真時代のアクション映画を思わせるような、そういう映画の原点を思わせるような活劇が描かれていて、すごく面白いと思ったのが(今回の作品を手掛ける)きっかけです。

「活動弁士のことを僕自身も知りたいし、皆さんにも知ってもらいたいと思った」と語る周防正行監督


それから僕も活動写真について取材をし、いろんなことを知りました。何で日本人にとって活動弁士が必要だったのかということも、日本の語り芸の文化が背景にあるんだなっていうことも分かりましたし、日本独特の上映スタイルというのを世界の人にも知ってもらって、そういう映画の見方もあったんだということを多くの人に知ってもらいたいなって思いました。

活動弁士自体の存在もそうですが、活動写真というものが持っていた魅力、つまり写真が動く“アクション”。初期の映画はそのアクションの驚きで見せていた。今、僕らが呼んでいるアクション映画とはちょっと質の違う、活動写真のアクション映画というものを(「カツベン!」では)楽しんでもらいたいなって思います。

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