2018年12月に4K放送が開始され、さまざまなジャンルの番組でよりリアルな映像が見られるようになった。中でもスポーツ放送は、4Kの高精細な画質の良さが実感できるジャンルの1つではないだろうか。サッカーのコメンテーターとして数々の試合を実況してきた西岡明彦さんに、4Kによるスポーツ放送の進化について話してもらった。
――サッカーの実況をされるようになったきっかけは何ですか。
最初に勤めていたテレビ局を退社してから、ロンドンに留学し、戻ってきてからフリーという立場で仕事を始めたんです。しかし、最初は僕自身の知名度があまりなく、サッカーの仕事はそんなになかったので、野球とラグビーの実況をしていました。その後にやったのがテニスとサッカーです。テニスとサッカーは自分が実際にプレーしていたので、「実況もやりたいな」と思っていたら、たまたまお話をいただいたんです。
ただ、ここ10年くらいはサッカーの実況しかしていないですね。2002年ごろから、サッカーの仕事をたくさんいただけるようになったのもそうですし、サッカー放送の多くは有料放送なのでコアな視聴者が多く、実況にもより専門性が求められるようになったんです。それならば、自分が一番得意としているサッカーで勝負したほうがいいかなと。
――10年間サッカーの実況一筋ということですが、そこまで引きつけられるサッカーの魅力はどういうところですか。
ここまでのめり込んだのはサッカーをやっている人たちと出会ってからですね。広島での局アナ時代にいろいろなサッカー選手と知り合ったり、今も日本代表の選手と出会ったりしているんですが、彼らを見ているのが面白いんですよ。サッカーというよりは人に引かれたんです。
「この人たちの人生について行きたい」というか…僕自身もサッカーをやっていたんですが、僕はスポーツに人生を懸けてこなかったので、人生を懸けている人たちを見て、この人たちはどういう人間なんだろうな、っていうところに興味があるんです。
局アナを辞めたのも、サッカーで24時間365日生きていくためにはどうすればいいのか考えた結果なんです。昔ではありえなかったぐらい、今の時代は見てくださる人も増えたので、サッカーを職業にできるというのは、ありがたいなと思います。
――サッカーの実況をされる上で、気を付けているポイントはありますか。
1番は、見ている方にスタジアムに行っている感覚というか、臨場感を感じてもらうことですね。Jリーグであれば私たちも会場に行きますので、会場の雰囲気とか気温など、会場でしかわからないことをお茶の間にも届けることを大切にしています。試合中も、あまり脱線して違う話をするのではなく、その試合の臨場感を伝えることを第一に考えています。
他にはもちろん試合を追いかけることや、解説の人からいろいろな話を引き出すこと、あとはやはり肝心なゴール前の盛り上がるところを大切にするということは心掛けています。
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