――各曲に一言づつコメントをください。
マリアンヌ:イントロのチェンバロのフレーズが思い浮かんだ途端、「もらった!」と思った、そんな曲です。歌詞については詳しく解説する気はないのですが、わたくしにしては珍しく現代の世の中の事を歌ってみたつもりです。
島崎:「これが1曲目だったら驚くよね?」という想いで、ブリティッシュ・サウンド溢れるこの楽曲を1曲目に持ってきています。
「映画のサントラ要素を1曲に凝縮したような楽曲」で、きっと「すごい展開だ!」「間奏が驚くほど長い!」という衝撃を受ける方も多いでしょう(笑)。
マリアンヌ:これこそ今回このタッグを組んだからこそ生まれた楽曲ですね。初期段階では、Aメロとサビの進行が旋律は違えど同じでした。
でもそれってわたくしがよくやりがちなパターンで。聴きようによっては手抜きなんですね(笑)。そんなつもりはないのですが、やりきる前に手詰まりになってしまう。それに対して島崎さんから「サビ、思い切って転調してみたらどうだろう?」とアドバイスを受けて。
こちらは転調と移調の違いも明確に分からないようなレベルですから一瞬「ん?」となりましたけど、思い切ってサビっぽい展開を考えてみたらこうなりました。
島崎:自信作です。デモ段階ではサビは違うメロディーでした。それに対して、僕が「サビが若干パンチが弱い」「サビを転調するか」という添削(笑)をして、燃えに燃えたマリアンヌ氏が、極上なサビを書いてきました。流石過ぎて、苦笑してしまいました。圧巻なメロディーです。
マリアンヌ:イントロやブラス、ストリングスのアレンジで世界観を深化させて非常にゴージャスな一曲になったと思います。
島崎:「これぞ、キノコホテルが放つ極上なPOP」だと思います。派手にしたかったので、ブラスを生でレコーディングしました。サビの後半のメロディーは圧巻で、「POPなのに泣ける感じ」が、僕は大好きです。
マリアンヌ:何年も前に作って実演会でも披露した事があった曲なのですが、どこか納得がいっていなくて、半分お蔵になっていた曲です。
これも島崎さんのアドバイスの元、最後の最後に一度だけ出てくる盛り上がりの部分をサビとして構成を練り直しました。そしたら見事に化けてしまって。
島崎:「キノコホテルでは、B級感が大事なのよ」というマリアンヌ氏の言葉が印象的で、「カッコよさの中にあるB級感」を追求しました。テルミンを入れたり、とにかく楽しんで作りましたね。
マリアンヌ:これはまあ単純にゲンスブールの「ジュテーム」的なものをやってみたかったのです。歌以外のアレンジはもともと構想があって、着手したらあっという間に出来上がりました。
その時はまだインストでしたけど、真夜中に従業員やマネージャーにデータを送りつけて「とにかく聴け」と。普段そんなことはしないのですが。これは間違いないと確信した一曲です。最後のフェイドアウトも、決して事故ではありません(笑)。
島崎:名曲です。2番サビの後半で最も高揚するところで、まさかのフェイドアウト。日本の音楽史に残したいフェイドアウトです(笑)。
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