近年、HondaさんがCMに取り入れる音楽のチョイス、音楽と車の携わり方には新鮮さを覚えておりまして。その時々の「今」をとらえる、かつスタイリッシュな印象は、とても格好良いなと思ってました。
僕自身、TENDREとしてこういう形で携わらせていただく上で、日頃大切にしている自らの空気感や言葉の温度、気持ちというそれの機微をうまく調和させられたのではないのかなと感じています。
広告というフィールドの中で、1つの語り掛けのような距離感、そして感動体験の素晴らしさを、良い温度感で表現できたのではないでしょうか。
いざというときに寄り添ってくれるもの。そういうものへの、いとおしさを思い出せるように。
――歌詞に込めた思いは?
「走らせて」というフレーズには意思が伴っているわけです。バイクを走らせるという意味だけでなく、思い立ったそのときの気持ちの鮮度やスピード感ってとても大事で。
タイミングというものは気付けば遠くへ霞んでしまったり、うらやんでしまったり。よくあるわけです。
自らの中に何かの衝動やエネルギーが湧いたとき、それを原動力にして思いを走らせられたら。すてきなことですね。図らずもであろうとも、待ちわびたそれであろうとも、その輝く瞬間を穏やかにとらえられる、軽やかな心をもてたら、という思いを言葉にしました。
――歌詞のテーマ。
あえて言うならば、登場人物は1人ですかね。家か部屋で思いにふけつつ、ふと閃きなのか心のはずみが生まれる訳です。思いつけばしばらく跨っていなかったバイクを思い出し、あてもなく外の風を浴びようと思いついたのでしょうか。
しばらくぶりの速度、普段見ているようで忘れていたかのようなさまざまな景色や発見に、眠っていた心が開けていくような感覚を取り戻していくのです。
家路に着いた頃にはまた明日のことを思うも、昨日まで迎えていた明日より、少しばかり色鮮やかな明日に出会えそうな予感を抱いているのかもしれません。
――バイクへの思い。
実家にいる際、近所へはスーパーカブに乗っていまして。最初、エンジンをかけるのが異常に下手だったのですが、コツをつかんだときの、あの感触や感覚はうれしかったですね。
距離感も何も捉えてないまま、横浜から三軒茶屋(東京)までの過酷なツーリングをしたこともありまして。あのスピード感ならではの紆余(うよ)曲折ありましたが(笑)。
しかし、あの走りながらも、そのときの気持ちを自身に巡らせたり、いろんなことを考えられた時間。大して旅とも言えないものですが、そういうふとした時間こそ色濃く残っているものだなと思い出させるものがありますね。
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