欅坂46平手友梨奈主演のあの作品も!映画アドバイザー・ミヤザキタケルが厳選した7月初放送映画3作品<ザテレビジョン シネマ部>

2019/07/01 07:00 配信

映画

『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』(C)GDH 559 CO., LTD. All Rights Reserved.


文=ミヤザキタケル


 


長野県出身。1986年生まれ。映画アドバイザーとして、映画サイトへの寄稿・ラジオ・web番組・イベントなどに多数出演。『GO』『ファイト・クラブ』『男はつらいよ』とウディ・アレン作品がバイブル。

7月のWOWOW初放送映画 厳選3作品


映画アドバイザーのミヤザキタケルが、各月の初放送作品の中から見逃してほしくないオススメの3作品をピックアップしてご紹介! これを読めばあなたのWOWOWライフがより一層充実したものになること間違いなし!のはず...。

「バッド・ジーニアス 危険な天才たち」(‘17)


『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』(C)GDH 559 CO., LTD. All Rights Reserved.


今月は実話、漫画、小説、それぞれ作品のベースが異なる3本を紹介します。

まずは、アジア各国でヒットし話題となったタイ映画。中国で実際に起きた集団不正入試事件をモチーフに、天才的な頭脳を持つ女子高校生と、その仲間たちが世界規模の統一入試で行なう大胆で奇抜なカンニング作戦を通し、多くの過ちを糧に変えて生きていく人間の姿を描いた作品です。

良い大学に入って、良い職業に就く。それはとても大事なことだし堅実な道。かといって、すべての人がその道を選ぶわけじゃない。人それぞれに選択肢があって、幸せの定義も当然異なる。が、それはある程度裕福な日本だからこそ言えること。時折ニュースなどで見掛けると思うが、アジア圏の受験戦争は熾烈を極める。良い大学を出たかどうかで、その後の人生が大きく変わる。実話ベースの本作の下地には、競争社会で生きていかなければならない者たちのシビアな現実がある。誰だって正しくありたい。でも、正しさだけでは到底太刀打ちできないこともある。世の中はいつだって不公平で理不尽なことばかり。いっそ正しさなんて手放してしまった方がラクなのかもしれない。だが、一度手放したが最後、そうカンタンには戻ってこなくなる。

持って生まれたモノも育ってきた環境も違うのだから他人と優劣が生じるのは仕方がない。秀でた何かを持つ者にはアドバンテージがあるため、持たざる者がスタートダッシュで出遅れるのも必然。人一倍努力しなければ、持つ者たちと対等のステージにはまず立てない。ただ、はい上がろうとする者には、必ずチャンスが降り注ぐ。

きれい事かもしれないが、道が断たれてもリスク承知で別ルートを模索し、間違えて、気が付いて、次第に心の在り方を研ぎ澄ましていく主人公の女子高校生の姿がその可能性を示してくれる。やり直しはきかないし、取り返しのつかないこともあるけれど、本当に大事なことが垣間見えてくる。本来あしき行為であるはずのカンニングが、スタイリッシュかつ道を切り開くための行為として描かれる面白さ、実話ベースであるという重みが、あなたの心を作品世界へと引きずり込みます。

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