志尊淳、平手友梨奈、玉城ティナ、佐野勇斗、高杉真宙…旬の俳優が夏を駆け抜ける! 高校生たちの輝ける青春<ザテレビジョンシネマ部>

2019/07/05 07:00 配信

アイドル

『世界でいちばん長い写真(2018)』“意識低すぎ”キャラで、心を揺さぶる高杉真宙


『世界でいちばん長い写真』 (c)2018 映画「世界でいちばん長い写真」製作委員会


ここまで強い芯をもつ主人公の作品を紹介してきたが、実話を基にした誉田哲也の小説を映画化した『世界でいちばん長い写真』(7月8日夜7:00 WOWOWシネマ ほか)の主人公は、まさかのヘタレ。愛知県の知多半島を舞台にした本作で、360度のパノラマ写真が撮れるカメラと出会った高校生、宏伸を演じるのが高杉真宙。2018年の実写映画出演作は本作を含む全5作、今年も待機作を含めて全5作と、その勢いはとどまところを知らない彼の最大の持ち味といえば、イノセントな魅力である。

だからこそ、典型的な王子キャラから正体不明の宇宙人まで、どんな役にもハマる。本作でのイライラさせるほど消極的で、人生の目的を持てない宏伸も、思わず応援してしまうほどのヘタレっぷりなのだ。そんな“意識低すぎ”な主人公を見ていられず、思わず尻を叩いてしまう写真部部長役の松本穂香とのコミカルな絡みも見どころだろう。そんな宏伸が次第に自分の殻を破っていく過程が本作の肝になっており、そのカギとなるのが、カメラの被写体である。一面に広がるひまわり畑に、各々のポーズを取る帰宅部を含む、各部活の部員たち。13回転、145mの写真を撮影する上で、回転する回数を叫ぶクライマックスでの宏伸の姿に胸が熱くなることは必至。

『世界でいちばん長い写真』(c)2018 映画「世界でいちばん長い写真」製作委員会


今秋公開の『見えない目撃者(2019)』では視力を失った主人公を助けるスケボー少年を演じるほか、2019年10月公開予定の主演作『超・少年探偵団NEO -Beginning-』では、出世作「仮面ライダー鎧武/ガイム」(2013~2014)以来、佐野岳との約5年ぶりの共演を果たすなど、主演&助演を問わない彼の飽くなき挑戦はまだまだ続くだろう。

文=くれい響



1971年生まれ。TV番組制作、『映画秘宝』編集部を経て、映画評論家に。雑誌、ウェブ、劇場パンフレットなどに映画評やインタビュー記事を寄稿。