BiSH・モモコグミカンパニーが語る作詞への想い「人が一番弱っているときに支えてあげられるものに」<単独インタビュー>

2019/07/15 21:00 配信

音楽

モモコグミカンパニー撮影=西村康


――プロデューサーの渡辺さんは「BiSHのキレッキレジャパン」(GYAO!)の中で、サビから歌詞を作ると話されていましたが、モモコさんはいかがですか?

私は渡辺さんとは違ってAメロから順番に考えますね。渡辺さんの歌詞は今回のアルバムでも多いんですけど、いい意味で一貫性がなくて、でも引っかかるワードがすごくあるんですよね。どこから聴いても面白いし、聴く人の想像力を掻き立ててくれるっていうのが渡辺さんの歌詞のいいところだと思うんですけど、私は歌詞に一貫性を持たせたくて。自分も泣きそうでどうしようもなくて、でも誰にも話せないときに歌詞が助けてくれたっていうことがたくさんあるので、人が一番弱っているときに支えてあげられるものにしたくて、一曲まるまる一貫性を持たせたいと思っています。

モモコグミカンパニー撮影=西村康


――弱っている人を助けられるような歌詞にしたいと。モモコさん自身は、過去に高橋久美子さんの歌詞に救われたと言われていましたね。

チャットモンチーが昔から好きで、曲を聴いて泣いたこともあるし、助けられたことがたくさんあるんですけど、高橋さんの書く歌詞は文学的ですよね。詩集を聴いているような感覚にもなるし、素敵ですごく好きです。「CAT WALK」っていう曲が好きで、「私がいなくなっても世界はどんどん進んでいっちゃう」っていう暗い曲なんですけど。でも、私がいなくなっても、世界の中で私と関わってきた人たちの頭の中に私と関わった思い出は生き続けるっていう歌詞で、私は昔から生きている意味とか考えなくてもいいようなことを昔から考えてしまうんですけど、その答えをこの曲で見つけたような気がしました。

同じ人間じゃないと伝わらない


モモコグミカンパニー撮影=西村康


――歌詞の他にも、本を出したり、連載を持たれたりしていますが、今後文章のお仕事でやってみたいことはありますか?

そうですね……それが別になくて。私は個人的には書くのが上手い人だとは思ってないんですよね。歌詞を書けるような人になれたらいいなってずっと思っていて、BiSHに入ってその夢が叶って、他にもできることが少し増えてきたってだけで、作家ではないなって自分で思うので。まだまだBiSHに助けられていて、BiSHモモコグミカンパニーでしかないというか、何者でもないような気がしています。

――モモコさんは「BiSHモモコグミカンパニー」という存在を客観的に見られている印象があります。大学の卒業論文でも「アイドル」をテーマにBiSHの活動についても書いたと以前話されていました。

大学に入った後にBiSHに入って、どっちの活動も並行してやっていて、その時に「普段の自分」と「モモコグミカンパニーとして見られている自分」、どっちが本当の自分なんだろうってすごく考えてしまった時期があって、それをそのまま卒論にした感じです。アイドルは「偶像」とか「虚像」みたいに言われて、お客さんの中でイメージが膨らんでいった結果、その人の本当の人格は誰も知らないっていうような現象に興味があって。自分はどうなんだろうとか、BiSHのメンバーはどうなんだろうって思って個人的にみんなにインタビューしたりして書きました。卒論を書いてから、私は人間でありたいんだなっていうのはすごく思いましたね。もともときらびやかな人になりたいっていう願望があんまりなかったし、同じ人間じゃないと歌詞を書いたりしても伝わらない気がするので。本当の自分は見られたくないっていう演者の方もいると思うんですけど、私はどんどん心の内を出したいなって思っています。