上野樹里主演ドラマ「監察医 朝顔」 丁寧な日常描写で映し出す“証”が胸に響く

2019/07/08 12:30 配信

ドラマ

「監察医 朝顔」第1話(C)フジテレビ


上野樹里が表現する“日常”生活


この作品で特徴的なのは、タイトルにある「監察医」という医療モノを思わせる響き以上に、朝顔の日常生活を非常に丁寧に描いている点だ。

アップテンポで情報量の多いドラマにが主流となっている時代。もしかすると、この展開のゆるやかさを不思議に思う人がいるかもしれない。しかし、この丁寧さには理由がある。

朝顔の母、平の妻である里子(石田ひかり)は、東日本大震災で現在も行方不明。二人は、安否の分からない母親という存在に向き合い続けている。このデリケートなテーマをどのように描くのか。

本作では、山崎賢人主演の医療ドラマ「グッド・ドクター」(2018年)を手がけたスタッフも参加。小児外科を舞台に、命と向き合う医師の姿をあたたかく描いたことで高評価を得た作品だ。彼らは本作で、蛇足も不足もなく、丁寧に淡々と日々の生活を積み重ねることを選んでいる。

「監察医 朝顔」第1話(C)フジテレビ


例えば、ただ朝食を共にするのではなく、洗濯物の分け方についてああでもないこうでもないと軽く言い合う。帰宅すれば、朝顔が出した麦茶ボトルを平がしまってやる。その冷蔵庫の扉には、里子が3月11日直前に書いたメモがいまだに貼ってある。

ここまで聞くと重たいドラマのように感じるかもしれないが、本筋の事件パートはハートフルな仕上がり。亡き者が残した思いに胸が詰まりながらも、その優しさと遺族がほんの少しだけ前へ進み出す姿に心打たれる展開が待つ。

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