この物語で描かれるのは、誰かにとって当たり前に存在した人がいなくなったとき、その人が「たしかにここで生きていた」という証を見つけ出すこと。そして、生き残っている人々が、ほんの少しだけ前を向く姿だ。
それは各話に登場する事件の当事者に限られたものではない。生きた証を探し出す朝顔と平の日常生活の中にも、当たり前に存在した“母親”と共に積み重ねた日々があり、今度は視聴者がその中から母親の生きた証を見つけ出すことにつながっていく。
軽薄な感動を誘おうとせず、日々の生活をクローズアップすることで人々の命や思いと向き合う本作。アップテンポな作品が大量に制作される今、この丁寧な描写と上野、時任のたしかな演技力で仕上がったドラマで、時には人のあたたかさを思い返すのもいいかもしれない。
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