小説『劇場』はあまりにも身に覚えがある場面ばかりで胸をかきむしるような想いで読んだ。
私は又吉さんが書いた主人公がまとう空気をどうしても撮りたくなった。
ザラザラとした、夜が明ける頃に感じる切なくて淋しい空気を。
下北沢、渋谷、井の頭公園、そこかしこで錆つきそうな青春が吹き溜まっている。 山崎賢人と松岡茉優という稀代の若く鋭い感性と共に、自戒を込めてどうしようもない男と女の在り方を映画として映し出せたらと思います。
『劇場』という小説は、恋愛というものの構造がほとんど理解できていない人間が書いた恋愛小説です。
恋愛小説と呼べるものになっているかすらもわかりません。ただ、若くて未熟な二人がともに過ごしたどうしようもない時間を必死で書いているうちに、作家のわずかな能力を超えて濃密な風景が幸運にも立ち上がったと感じています。
ちょっと表現まわりくどいですか?「こいつなに一丁前に作家ぶっとんねん」と思いました?
でも、本心なんです。それくらい自分にとって、大事な作品です。
信頼している行定勲監督、そして山﨑賢人さん、松岡茉優さんをはじめ、魅力的な俳優陣によって映像になることを嬉しく思っています。
普通、原作者はシンプルな言葉で感謝を綴るくらいが丁度いいと思うのですが、思わず長文になってしまい恥ずかしいです。そして、言い訳しているせいで、より長くなってしまいました。すみません。
絶対観に行きます!
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