長期間にわたる取材力を評価!“マンホールチルドレン”の20年を追ったドキュメンタリーが「衛星放送協会オリジナル番組アワード」グランプリを受賞

2019/07/17 23:29 配信

芸能一般

グランプリを獲得した『ボルトとダシャ マンホールチルドレン20年の軌跡』チーム

7月17日(水)、東京・よみうり大手町ホールにて「第9回衛星放送協会オリジナル番組アワード」授賞式が開催され、2018年にNHK BS1で放送された「BS1スペシャル『ボルトとダシャ マンホールチルドレン 20年の軌跡』」がグランプリを受賞した。

2011年にBS・CS(有料多チャンネル)のオリジナル番組の制作促進と、優れた番組の認知度向上を目的に創設された同アワード。今回で第9回目を迎え、放送作家や新聞記者などの有識者で構成された審査員が、作品のオリジナリティ性などを基準に各部門の最優秀賞とグランプリを選出し、表彰を行った。

グランプリを受賞した「ボルトとダシャ」シリーズは、1998年に第1作を放送。当時、モンゴル・ウランバートルで、親に捨てられマンホールで寒さをしのぎながら生活をしている“マンホールチルドレン”のボルト(当時13歳)とダシャ(当時14歳)に密着し、2人で助け合いながら懸命に生きる様子を映像に収めた。

密着2回目となる2004年には、職を得たボルトが自力で家を建て、同じマンホールチルドレンの女性・オユナと結婚。女の子を授かるも、2008年にはオユナがダシャのもとへ。すべてを失ったボルトは再びマンホール生活に戻ってしまった…。あれから10年、2人は一体どこで何をしているのか?再び取材班が密着取材を行ったのが今作の「ボルトとダシャ マンホールチルドレン 20年の軌跡」だ。

審査員の石井彰氏(放送作家)は「2人に近づきすぎず、離れすぎず見つめ続けるスタッフの“視点”に胸を打たれた」と講評し、「ドキュメンタリーは国境を越える」とコメントした。

また、審査員長・吉岡忍氏(ノンフィクション作家)は、「人が生きている姿をカメラが捉え続けていました。そこには、愛もあり、別れもあり、憎しみもありました。そのすべてを飲み込むように歳月が流れる。テレビはここまで人間を描くことができるのかと驚きました」と評した。

制作に携わったプロデューサーの山口秀矢氏は、2008年放送回のラストシーンで、すべてを失くしたボルトが絶望的な表情を浮かべ、うめき声をあげたところで番組が終了したことを回顧。番組には「残酷な終わり方だ」「続編を作るべきだ」との意見が届いたと言い「心にグサグサ刺さった」と、何としても続編を作りたかったという当時の思いを述べた。ボルトが行方不明となったことで企画が頓挫しかけたものの、見ず知らずの人から居場所を教えてもらい、続編を作れることになったと今作の制作経緯を明かした。

グランプリ発表の際には、山口氏が、一緒に登壇したスタッフへ感謝を述べる一幕も。今作でナレーションを務めたリリー・フランキーもVTRで登場し「グランプリおめでとうございます。ボルトとダシャの20年であると同時に、スタッフの人生の20年でもあると思います。ボルトとダシャに“君たちの人生がグランプリを獲ったんだ”って教えてあげてほしいです」とコメント。続けて「幸福とは何なのか?愛とは何なのか?誇りまみれの世界でまっすぐに教えてもらいました」と喜びを語った。