矢口監督は「社会を風刺している映画が多いですね」と言われた場面で、少し悩みつつ「僕はスマートフォンを持っていませんし、どうせ使えないと思っているので持っていません。主人公・静香に社会批判をさせようとは思っていません」とコメント。
「ただ、あの年代で東京で働いているとしたら、静香というキャラクターはトップクラスの稼ぎをしていて幸せな生活をしている人です。でも、静香はその生活に実は満足しておらず、本当に自分のしたいことを、催眠術をきっかけに、ちょっと太った相棒と共に探しにいき、発見させてあげたかったのです」と話す。
会場から「アメリカでの公開は?」と聞かれた矢口監督は、「ぜひ、してほしいです。今日見てくださった方々に映画の面白さを証明してもらえれば、公開に一歩でも二歩でも近づくと思います」と語り、三吉も加勢して「ぜひ、SNSで発信してください」と頼んでいた。
また、矢口監督が「三吉さんと共に旅をする、太った女の子が劇中にいます。その子は芸人で、演技もほとんど未経験でした。ただ、存在感はとてもチャーミングで面白かったので、この役に抜てきしました。カメラの前でも全く緊張せず、自分の普段のままできることが彼女の良さでしたが、困ったことに玉ねぎを丸かじりするシーンは、普段の彼女のままではできないことでした。
なので、撮影現場に本物の催眠術師を呼び、彼女に玉ねぎがおいしいリンゴに思う催眠術を掛けました。すると本当においしいと言って、思い切り食べてました」と撮影中のエピソードを紹介し、会場は大爆笑。
その様子に、三吉は「これ以上、面白いこと言えない…」と困り顔だったが、「私の上司の役で村上さんという人が登場するのですが、彼が話し終わると小鼻をきゅっと上げ独特な笑顔のシーンがあって、監督が『実際こんな感じでやってほしいです』と演じると、すごく格好良くて、スタッフさんとマンガから出てきたみたいに格好良いと盛り上がって言っていたんです」と話し、矢口監督も照れた表情で「ありがと!」と応える。
続けて、「村上さん役の俳優さんもそれをまねて、ずっと『ありがと』ってやっていたのですが、彼はすごく真剣に演じてはいたのに、だんだんネタみたいになってきまして、これは笑いを取りにいっているのでは?という現場の雰囲気になってきまして。実際、トロント(カナダ)や上海(中国)の映画祭でも格好良いという反応より、これは笑わせにきているという反応のお客さんが多く、今日もそういう反応だったので、うれしかったです」と笑わせる。
そして、矢口監督は「いろいろな所で上映してきましたが、反応はどうですか?」という質問に対して、「同じパートで笑いますけど、こちらの方がダイナマイトでした。上海映画祭では、中国の観光客のシーンが一番盛り上がっていました」と回答。
また、ミュージカル映画に対する反応の違いを聞かれた三吉は「私自身はミュージカル映画に違和感はなく、普通に好きだったんです。日本でジャパンプレミアを行って、日本の皆さんに初めて見ていただいたのですが、お客さんも楽しんで見てくださっていました」と振り返る。
さらに、「ただ、日本で上映されるミュージカル映画は海外から入ってきているものが多いので、周りを気にせず映画館で大きく笑ったりだとか、一緒に歌ったりするのは、日本だとまだ少しハードルが高いのかなと思います。なので、この映画をきっかけに、どんどん歌って踊って映画館でも楽しんでもらえる映画にしたいなと思っています」と思いを明かした。
最後に、矢口監督は「日本の公開は、まだ1カ月先です。ですので、ここでお客さんがどれだけ反応してくれるかっていうのは、日本の公開に向けてのテストと思っている部分もあって、実際確認したくて後ろでこっそり反応を見ていました。皆さんの反応を見て、日本でも絶対ヒットするという自信を持てました、ありがとうございました!」と、ミュージカルが盛んなニューヨークで受け入れられたことに手応えを感じた様子。
三吉は、「私も、皆さんの反応を見られて安心しました。これを日本に持って帰って、これが日本発のミュージカルコメディー映画だって、自信を持ってアピールしていきます。そして、アメリカでも公開できるように、ぜひ皆さんSNSでの拡散よろしくお願いします」と呼び掛けた。
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