堀潤、アフリカの“貧困国”で奇跡を起こした少年に「希望でしかない」

2019/07/24 15:25 配信

映画

映画では描かれない背景を大いに語った堀潤(右)と馬野裕朗(C)2018 BOY WHO LTD / BRITISH BROADCASTING CORPORATION / THE BRITISH FILM INSTITUTE / PARTICIPANT MEDIA, LLC

馬野氏「大事なのは、自身を持つこと」


続いて、映画でもさまざまに描かれていた、人々の中に生まれる“チャレンジを抑圧するような空気”について2人は語った。

「声をあげるのはとても勇気がいることですよね。ウィリアムさんは、本当によくくじけずに風車をたてることができたな、と。プラン・インターナショナルは頑張ろうとしている人に対してのどのように精神的なサポートをされているんですか?」と堀が質問。

それに対し、馬野氏は「大事なのは、自信を持つこと。例えば、力を入れている女の子の支援でとくに言えることですが、パキスタンで識字率が20~30%の地域では、文字が読めるようになることが小さな自信になる」と話し、「さらに、親や周りの人から『女の子も教育を受ければこんなすごいことができるようになるんだ!この手紙を読んでくれない?』と言われる、それがさらに大きな自信につながるんです」と答えた。

受けて堀は、「自己肯定感をどうやって育むのかがキーワードですね。これは開発国、先進国、問わずに。その実績作りを周りがどうサポートできるのか、評価をしてくれる仕組みや人をどうやって用意するのか、そういった部分においてNGOの活動は重要ですね。映画の中でも、ウィリアムが成長していく過程や、自信が確固たるものにどうやって変わっていくのかというのが見どころです」と映画にもつながる支援の側面から力を込めた。

途上国の女性の活躍について


途上国での女性の活躍について馬野氏が、「この映画で、お母さんが重要な役割を果たすように感じています。飢饉に向かってだんだんと食べ物がなくなっていく過程で、誰がどういう状況で判断を下すのか、その点にぜひ注目してほしいですね」と観客に呼び掛けた。

すると、堀も「ヨルダンの難民キャンプで取材をしていたのですが、男性たちが大きな理想を掲げながらも疲弊していく中、女性たちは、身近な誰かを守るための具体的なアクションをとり、目の前の成果を丁寧に積み上げていく。性差によるものはあまり語りたくない一方で、やはりそういった特性は感じたというか」と実際に目の当たりにした現状を明かし、「ジェンダーギャップにおいても、日本や先進国も実はすごくロスをしていると思いますね。多様性っていうのもこの映画にすごく含まれていると思う。性別や、世代など、地域がもたらしてきた分断をどのように乗り越えていくのか。そういった観点でも意味を持つ映画」と堀ならではの視点で指摘した。

子どもという存在について


さらに、本作の主人公である14歳の少年・ウィリアムや、子どもという存在について尋ねられた堀は、「希望でしかない。我々は、『大人は知っていて子どもは知らない』という関係性を築きがちなので、最近心がけていることは子どもたちの目線で『みんなが知りたいことや知らないことをおしえてくれないかな?』という聞き方をすること。すると、一見突拍子がないような答えが返ってくることもあるが、その手があったか!というアイデアが生まれたりする」とコメント。

馬野氏も「堀さんがおっしゃることに大賛成!20年近い途上国での仕事の経験で、キーワードは、『お互いにどんな違いがあっても、等しく同じ目線で尊重しあって対話すること』だと思います。それによって学びがたくさんあります」と述べ、堀も「フェアであることってイノベーティブですよね」と大きくうなずき合った。