――ドラマスペシャルでは3作目、2年ぶりの「最上の命医」となりますが、いかがですか?
2年前に撮影が終わった時に、やり尽くしたという思いはありましたが、脚本家の方が変わり、新たな角度でこういう展開があるのかという題材の作品になったと思います。
同時に、8年やらせていただいていると、医療器具や医学の進化が目に見えて僕でも分かるくらいに変わってきていて、開胸するオペが少なくなったり、AIがどんどん医療の中に取り入れられたり、常にこの作品は時代のターニングポイントに置かれているなと今回感じました。
――斎藤さんにとって「最上の命医」とはどんな作品ですか?
この作品に関しては、俳優業を超える感情があります。2011年の連続ドラマ放送中、東日本大震災が起こって、震災3日後の3月14日が「最上の命医」の最終回でした。昨年も、被災地に行ったのですが、報道されているニュース以外にも、ドラマやバラエティーなど、そういうものを被災者の皆さまが見たいという気持ちがあるのではと感じました。
「最上の命医」はドラマではあるのですが、内容も含めて、意味深い作品になったと感じています。放送後にも途絶えることなくこの作品の掲示板への書き込みが今も続いています。その中には、「医療の世界を目指します」と書き込んで、8年たって実際に「医者になった」と報告してくださる方もいるんです。
職業を提示できたり、医療に対する小児外科不足ということを提唱するきっかけをつくれ、作品を続ける意義を実感しますし、点ではなく線になっている作品なんですよね。それは、受け取ってくれた視聴者の方が紡いでくれているというのも事実です。掲示板の声が途絶えなかったというのが、続いていく決め手になったんじゃないかなと思います。
――今回の見どころを教えてください。
今回の物語は一見かなり究極の状況ではあるのですが、今や報道になっているニュースの方がドラマを超えてしまっている、そういう凄惨(せいさん)なニュースも多いというのも事実です。
正義と悪の見え方が一つ角度を変えるとまた違う見え方をしてくるという部分は、とてもタイムリーだなと思いました。僕らが報道によって知っているものは、一つの側面だと思うんです。今回の物語は、悲しさを含みつつも、医療ドラマという以上に、実は家族の物語として少し違う角度にメスをいれているんじゃないかなと思っています。
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