2019/08/23 07:00 配信
山崎ナオコーラが映画をテーマに等身大でつづるエッセイ。第6回は1980年代のニューヨークで活躍しながら27歳で早世した、若き天才アーティスト、ジャン=ミシェル・バスキアの伝記ドキュメンタリー「バスキア、10代最後のとき」( 9月9日夜7:15 WOWOWシネマ)を観る。
ドキュメンタリー映画「バスキア、10代最後のとき」は、ジャン=ミシェル・バスキアがまだ有名になる前、10代の終わりを過ごしたニューヨークのアート・シーンを、当時の友人や関係者に対してインタビューした映像をつなぐことで浮き上がらせた作品だ。若いバスキアは、宿なしで過ごし、いろいろな人と交流してさまざまなジャンルに関わっていった。それが鮮やかに描かれる。
17歳の頃から、地下鉄をペインティングし、街角の壁にも絵や文字を描いた。学校を退学し、家出もして、居場所をなくしたバスキアにとって、世界のすべてがキャンバスだった。ただ、勝手に描く行為はもちろんモラルに反するわけで、こっそりと素早く描く。バスキアは、「その急いで描く良さ」も大事にする。絵の具がたらりとこぼれるのも作品とするし、子供っぽい図柄も平気で描く。
友人たちの家を泊まり歩いていたので、当時のバスキアを知る人はかなり多い。語られる人物像はとてもキュートだ。そして、時折差し挟まれるバスキア本人の写真は、顔立ちがかわいらしく、表情はとぼけていて、体型がスラッとしていて、髪形は攻めていて、服も個性的で、大物アーティストになりそうな雰囲気ががんがん出ている。
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