――お二人の共演シーンで、印象的だったことはありますか。
松村:会社でみんなでお昼ご飯を食べながら井戸端会議をするみたいなシーンがあって、それが最初の共演シーンだったんですよ。ちょっと緊張しながらやっていた思い出があります。
大野:確かに! あのシーンは私も緊張しました。「もっと顔を近付けて」なんて言われて。
松村:ドキドキしたよね。会ったその日に仲のいい友だち同士のシーンを撮るってすごいことだななんて思いました。
大野:もうちょっと後で、二人がぶつかって仲直りするみたいなシーンも印象的ですね。「あ、通じ合えた」なんて、演じていて私もうれしくなりました。
松村:二人だけのシーンではないですけど、課長役の少路勇介さんが面白い方でしたね。私たちが真ん中で演じている端で、何か一人でやっているんですよ。それが視界に入ると面白くて、笑いをこらえるのが大変でした。途中からもう、少路さんの顔を見ただけで笑えるようになっていましたね(笑)。
――紫野と彼女がワイン会で出会った実業家の織田(小野塚勇人)との関係は、恋愛感情なのかどうか微妙な感じに描かれていましたね。
松村:私は「恋かな?」と思っていたんですけど、監督さんから「そんなに恋愛要素の強い感じにはしたくない」って言われて。実際にはどうなんでしょうね。そこは見た方それぞれの解釈でいいかなって思います。ワインが導いた関係というか、ワインを通じた信頼関係っていう感じですかね。この人はこのワインが好きだから、こういう人なんだみたいな。
――一方で、千秋は男性に対してはグイグイと…。
大野:ちょっと暴走しまくっていましたね(笑)。学歴や収入だけで男性を見たり、ハイスペックな恋人が欲しいって思ったりするのは共感できなくもないですが、私には現実的ではなくて、ドラマや映画の世界の女の子という感じで(笑)。あんなふうに恋に突進していく積極的な女性にはあこがれますね。
詳しくは言えませんけど、男性とのあるシーンがあって、晴れの日に一度撮ったんですよ。別の日に雨が降って、もう一度撮り直したら、また違ったいいシーンになったということがありました。あのシーンは注目していただきたいです。
――ワインに関することで印象的だったせりふなどはありますか?
松村:ワインの感想を語り合うときに、業界用語じゃないですけど、普段は言わないような専門用語みたいなのがあるのが面白いなって思いました。「(眠っていた)ワインが目覚める」とか。
大野:私は「当たり年」ですね。ワインのラベルに何年って書かれているのは、これまでも見かけていましたけど、そこにこんなに重要な意味があるんだっていうことは作品を通じて初めて知りました。
――この作品に出演して以降、ワインの見方が変わったりしましたか?
松村:それまでは特に銘柄を意識して飲んではいなかったんですけど、だいぶ意識はするようになりましたね。
大野:私も街を歩いていて、いつも通っている道なのに「あ、こんなところにワインショップがある!」なんて気付くようになりました。
――それでは、最後に改めて映画のアピールをお願いします。
松村:画がきれいでファンタジーっぽいので、ワインに詳しくない方でも見やすい作品だと思います。絵本を読んでいるような感じで見ていただけたらいいですね。お酒はちょっと苦手っていう女性も、この作品を通してワインに興味を持っていただけたらうれしいです。
大野:ワインを通じて人と人がつながっていく物語です。一人一人に秘密やコンプレックスがあったりと、それぞれの人物像がきちんと描かれているので、見てくださった方が登場人物のどこかに共感してもらえたらと思います。ぜひ劇場にいらしてください。
取材・文=青木孝司
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