――それぞれのキャラクターについての印象を伺いたいのですが、まずは三吉さんの静香ぶりはいかがでしたか?
やしろ:静香がどんどん変わっていく感じが近くにいて伝わってきました。キャリアウーマンだった静香は音楽を聞くと歌い踊らずにはいられなくなる催眠術をかけられてしまい、それを解きたいということで必死だったんですけど、私が演じる千絵と一緒に行動しているうちにもしかしたら千絵のことも考えてくれているのかなって感じることが多くなってきて。
「あれ、千絵のこと好きなんじゃない?」って思う瞬間がありました(笑)。
三吉・chay:(笑)。
やしろ:その気持ちの変化がうれしかったです。
――確かに、静香が千絵に出会った頃は「何、この人?」って感じでしたもんね。
三吉:千絵に対してそう思っていた部分はありましたね。
chay:私のお友達は静香と同じぐらいの年齢で、OLをやっている子が多いんです。
ご飯を食べに行ったり、遊びに行ったりしている時に仕事の悩みや自分が置かれている立場についての話を聞いたりするんですけど、どこか静香と似ていて。
上司に仕事を頼まれて本当は断りたいけど期待に応えたいと思って頑張ってしまう。良くも悪くも仕事にのめり込んでオンとオフの切り替えがうまくできなかったりするところは働く女性の共通の悩みなのかなと。
だから、きっと静香に共感できると思うんですよ。静香が千絵や私が演じる洋子と出会い、行動を共にするうちに少しずつ変わっていく姿に、明日からも頑張ろうと勇気づけられる人が多いのかなって。
コメディー・ミュージカルなんですけど、とても奥が深い作品だなと感じました。
――やしろさん演じる千絵の印象は?
三吉:私は、千絵役がやしろさんに決まったと知った時にぴったりだなと思いました。やしろさんと千絵ちゃんはイコールでつながっているイメージ。
chay:台本を読んでいて思い浮かべていたままのキャラクターでした。
やしろ:ありがとうございます(笑)。私は普段ものまねをやっていますけど、今回のようにあんなに長く違う人を演じたことがなかったので、最初は不安な気持ちでいっぱいでした。
でも、やしろ優といえば芦田愛菜ちゃんみたいなイメージを少しでも変えることができたらいいなと思っていたので、千絵にしか見えなかったって言われると本当にうれしいです。
三吉:静香として千絵に向き合いながら演じているんですけど、どんどん本気になってきて。
ちょっと男にだらしない千絵ちゃんがある失敗をした時に静香がものすごく怒るシーンがあるんですけど、厳しいことを言われている千絵ちゃんの姿を見ていたら「あ、何てひどいことを言っているんだろう。後で謝らなきゃ」っていう気持ちになったんです。
完全に芝居を超えてリアルな感情が出ていました。それは、私自身が静香と向き合っている証でもありますし、千絵ちゃんがやしろさんだったから自然とそういう気持ちになれたような気がします。あらためて、千絵ちゃん役はやしろさんにしかできないと思いました。
chay:本当に絶妙なキャスティングですよね。私は矢口監督の作品が大好きなんですけど、俳優さんに限らずいろんなジャンルからそのキャラクターにぴったり合う人を探しているという印象があります。
千絵という役もやしろさんだからこそ、より役柄の良さが出たんだろうなと思うので、やしろさんを見つけてきた矢口監督はさすがですよね。
やしろ:脚本を読んだマネジャーさんが「この役、本当にやしろみたいだからオーディションに行ってみたら」って言ってくれたんですよ。
三吉:素晴らしいマネジャーさんだよね。
やしろ:映画のオーディションなんて受けたことがなかったですし、演技も初めてだったので私が行ってもいいのかなって思っていましたけど、飛び込んでみて良かったなと。千絵との出会いは運命だなって感じました。
――静香と千絵がインチキ催眠術師・マーチン上田(宝田明)を捜す旅の途中で出会うのがchayさん演じる洋子。
三吉:この洋子ちゃんのキャスティングも絶妙。本当にかわいいんです。
やしろ:かわいいよね。
三吉:chayちゃんは劇中で方言も話していて、それがナチュラルでかわいい。でも、実はいろいろなことを考えていて、明確な目的があるからこそあんなとんでもない騒ぎを起こしてしまう。
普段、女優とは違う仕事をしているchayちゃんが洋子を演じたことによって「もしかしたら、本当にこういう人がいるかも」という生々しさというかリアルな感じが出ていたような気がします。
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