(本広克行監督インタビューPART1から続く)
――ちなみに「歳末特別警戒スペシャル」('97年、フジテレビ系)は、アニメ「新世紀エヴァンゲリオン」('95~'96年、テレビ東京系)の影響を色濃く受けているような気がしたのですが? “初号機”や“弐号機”といったせりふが出てきてたような…。
「そうかもしれませんね。僕は以前から見ていたんですが、ちょうどそのころ助監督が見てたんです。ドラマの中に出てくるリポーターの名前を“綾波”にしてて、『まんまかよ!』ってツッこんだ覚えがあります(笑)。彼はフジテレビの社員なので徹底的に教育していったら、そのうち営業に異動しちゃって…それが劇場版1作目のときだったので、劇中でSAT(特殊急襲部隊)隊員が彼の名前を呼ぶシーンもあるんです」
――完全に内輪ネタですね(笑)。視聴者は分からないのでは?
「『踊る』はそういうものの嵐ですよ。みんなが面白いと思ってやってるんで。でも、コアな人はガイドブックとか見て知ってるみたいです」
――「踊る」の影響力はすごいですね。これを見て警察官を目指したという人が多いと聞きます。
「いっぱいいるみたいですね。今回の撮影で、新湾岸署のロケ地の横が東京湾岸警察署だったんだけど、そこに警察官の独身寮があって、夜になると警察官が撮影を見に来たりして。仲良くなって話聞いてみると『「踊る」を見て警察官になったんですよ!』って人が実際にいて、『マジで!?』って。面白いですね。僕は『ただのドラマだよ? うそだよ、これ』って思っちゃうけど」
――夢を与えられるのはすごいことだと思います。
「でも、複雑な心境です。青島みたいな人いたら絶対クビですからね(笑)。警察官になってから苦労しないといいなって思います。生半可にできない仕事だし」
――ちなみに本広監督が映画監督を目指したきっかけは?
「香川県出身なんですけど、田舎にいて映画監督になるのは不可能だと思っていたんです。そしたら、受験の年に交通事故に遭っちゃって、寝込んでるときに読んだキネマ旬報に、“映画専門学校ができる”って書いてあって…そこからですかね。そんな偶然があったんです。そういう意味ではラッキーでしたね」
――なるほど。ちなみに「踊る」に影響を与えた映画はありますか?
「映画じゃないけど、海外ドラマの『ER緊急救命室』('94~'09年)は影響を受けました。お芝居の作り方、脚本の作り方、カメラワーク…。3つくらいの話が同時進行して、カメラに映ってないところでも話が続いていて、そこをカメラが切り取っていく。『ER』を見て『踊る』を作ったと言ってもいいくらいです」
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