<Dr.STONE>原作・稲垣理一郎×BURNOUT SYNDROMES・熊谷和海対談(前)「自分にとっての100点が他人にとっての100点ではない」

2019/08/23 18:00 配信

アニメ 芸能一般 インタビュー

「Dr.STONE」原作者の稲垣理一郎とBURNOUT SYNDROMES・熊谷和海による対談が実現した撮影:Jumpei Yamada


――熊谷さんは原作漫画の大ファンだと聞きました。今回、稲垣先生と対談できると聞いた時の感想はいかがでしたか?

熊谷:僕が世界で一番尊敬している職業が漫画家なんですよ。

子どもの頃に「漫画家の一日」という円グラフを見たことがあったのですが、「睡眠時間以外、全部仕事じゃないか!」って(笑)。「すごいカッコいいな、この人たち」って思ったんです。

稲垣:いやいや、カッコよくはないですよ。世界で一番尊敬しているのは消防士さんとかのホントにカッコイイ仕事にした方がいいです(笑)。

熊谷:じゃあ、何で僕は音楽活動をやっているのかってことなのですが、もう漫画家への憧れが強過ぎて、漫画家という職業は“登れる山”じゃなかったんです。「Good Morning World!」の歌詞にも出てくる言葉ですが、僕にとっては“神々の霊峰”。

僕が登ってはいけないような感じがして、眺めているのがいいものなんですよ。

稲垣:でも、バンドを始められたのが13歳くらいだと聞きましたが、その段階から漫画家は諦めていたのですか?

熊谷:そうですね。もう受け手でいいかなって。

稲垣:早いですね、決めるの!

熊谷:本当に漫画が好きで、最高の芸術だと思っているんです。だから、漫画を読むのが好きですし、アニメのタイアップをやらせてもらえるというのはすごくうれしい。

そんな中で、原作者の方と対談させてもらえるなんて本当に楽しみにしていました。ありがとうございます。

稲垣:いえいえ。こちらこそありがとうございます。でも、漫画家なんて大したものじゃないですよ。

そう言っていただけるのはありがたいですが、僕らは作品を読んでもらって「面白かった!」って言ってポイッとしてもらえればそれでいいと思っている仕事なので。

熊谷:カッコいいじゃないですか!

稲垣:僕も漫画をリスペクトしてこの業界に入ったので、先輩の漫画家さんに会ったらすごくドキドキしますけど、みんなただのおっさんですから(笑)。

中学の頃とかテストをやりもせず、テストの裏に漫画を描いているというのをそのまま延長しちゃった連中の集まりですから、そんな大したものじゃないですよ。

熊谷:それは僕ら(ミュージシャン)も“遊びの延長”という面では一緒です。でも、週刊連載ってとんでもないなって! 

僕も作品を作って世に出す仕事をしているので、一つのものを完成させる大変さっていうのはすごく分かるんですよ。

稲垣:もちろん人や作品によって違うとは思いますが、曲って一曲あたりどれくらいでできるものなのですか?

熊谷:僕は急いで書いて平均一曲2週間くらいです。でもまあ、1カ月は欲しいなって感じですね。できるなら1年は欲しいです(笑)

稲垣:時間があればあるだけいいですよね(笑)。

熊谷:その分、締め切りがないと書けないっていう…。

稲垣:それは僕もすごくよく分かります。僕は漫画の設計図のネームというのを作るのが仕事なんですけど、ネームって正直時間をかければかけるほど絶対良くなるんですよね。だから、締め切りがないと絶対描かないです。だって、永遠に仕上げ続けますから。曲作りも一緒だったりしますか?

熊谷:そうですね。でも最近は、あえて8割くらいのところで出すのも優しさなのかなって気がしていて…。

稲垣:(同意して)それを「妥協」って言われちゃうと困っちゃいますよね。時間が無限にあれば、無限に(ブラッシュアップ)できるよってことだから。

熊谷:自分にとっての100点が他人にとっての100点ではない、という。

稲垣:そうですよね! いやぁ、いい話。その気持ちがないと仕上げらないですしね。

熊谷:そうなんです。「終わらないな」って(笑)。それにしても、1週間で書けって言われたら泡吹くな、って。それを1年、2年やるって本当にバケモノだなって思う。

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