<Dr.STONE>原作・稲垣理一郎×BURNOUT SYNDROMES・熊谷和海対談(前)「自分にとっての100点が他人にとっての100点ではない」

2019/08/23 18:00 配信

アニメ 芸能一般 インタビュー

「Dr.STONE」原作者の稲垣理一郎とBURNOUT SYNDROMES・熊谷和海による対談が実現した撮影:Jumpei Yamada

稲垣「1番が出来ている曲の2番を書き続ける感じ」


稲垣:でも、感覚としては1番が出来ている曲の2番を書き続ける感じだと思います。それだったらイケるでしょ、1週間でも?

熊谷:なるほど…確かに。

稲垣:永遠に2番、3番と作っていく感じ。1番を毎週作れって言われたら…。いわゆる新連載の1話目を毎週作れって言われたら、それは無理です。絶対に無理です。

(連載は)一応続きなので、1番を受けて2番というのをずっとやっている。

熊谷:そうなんですね!

稲垣:実際に曲を作られる時ってどういう順序で作られるんですか? やはり1番から?

熊谷:やっぱり1番から作りますけど、1番を作りながら並行してうっすら2番もできているという感じです。

稲垣:へぇー、そうなんだ! その感覚は面白いですね。

熊谷:大体1番を書いている時に、2パターンから3パターンはできるんです。それで、じゃあ1番はこれ、2番はこれ、と。だから、1番を書いている時は2番も書いているのと一緒ですね。

稲垣:そういうことか! なるほどねぇ~。じゃあ、今ある曲の3番を作れって言われたら逆に難しいのですか?

熊谷:3番かぁ…。後から作れって言われたら「おぉ…。出し切ったのにな」という感じですね。やれって言われたらやれますけど。「そういうオーダーだったら、しゃあねぇな」って(笑)。

稲垣:何でそんなに大人なんですか?(笑)

熊谷:注文を受けてやるのが好きなんですよ。だからアニメのタイアップとかもすごく好きで。

稲垣:音楽の分野だけじゃなく20代中盤のアーティストの方って、トガっているというか「オーダーされたものなんて!」と考える方も少なくないと思うんです。

それが良い悪いとかじゃなく。そんな中で、そこから脱却するのは結構時間が掛かることだから、(熊谷は)27歳でもうその域に達しているというのはすごいな…。

熊谷:13歳からやっているので、トガっている時期はそれなりに通り過ぎた感がありますね(苦笑)。

稲垣:でも、そういう(オーダーされて作る)作り方って、ある種の妥協というようなネガティブな見られ方をされることもあると思うんですけど、僕は声を大にして「違う」と言いたいんですよ! 

というのも、作り手だったら作りたいものなんて1000個くらいあるんです。

もちろん例えとしての1000個ですが。その1000個の中で、自分の1番やりたい1個を出すというやり方か、オーダーに合わせて自分のやりたいベスト50の中から一番合っているやつを出すかというやり方の違いなんです。

自分のやりたいベスト1じゃなくても、ベスト50の中にあるものだからいいんじゃないかなって。ベスト1が面白いとは限らないし、50番の方が面白いかもしれないし。

熊谷:さっきの100点理論ですよね。自分の80点くらいが他人の100点なんじゃないかっていう。

取材・文=原田健

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