三浦:今更ですが、ストーリーもちゃんと説明しないとですね。お話はこうです。
柳亭燕枝というダメダメ落語家がいる。圓朝に対抗心だけ燃やしているが、変な落語をする。とにかく滑稽話しかやらない。そんな落語家のところに吉田松陰がやってきて、あなたの弟子になりたいと言う。
圓朝じゃなくて燕枝? となるけれど、ペリーがやって来て、松陰がいろいろと悩んでいる時に、燕枝の落語を見てすごく心が癒された。それで、今の時代に必要なのはこれだ、と思って弟子に入る。
高杉晋作の描き方はこれまでとかなりと違っていて、「おもしろきこともなき世をおもしろく」という考え方に至ったのは、その落語家の影響だというのが今作の斬新なところですね。
高杉はおカタイ、すごいまじめ。燕枝の弟子に入った松陰が、落語っていうのはそういうものじゃないんですよと高杉を諭す。その松陰が捕まる中で、燕枝と高杉が共闘関係を結ぶ。その影響で高杉も変わっていく。その高杉の描き方が実に面白い。
松陰の「諸君、狂いたまえ」につながる、その源泉に燕枝というダメダメ落語家がいたんじゃないかというのが、面白い「嘘」だと言えるのでは。
この記事の関連情報はこちら(WEBサイト ザテレビジョン)