――燕枝周辺の人物もたくさん描かれますよね。
三浦:基本的には、燕枝の周辺の人物が主役。そこと長州の人々のかかわり。松陰は奥さんをとらないで終わるんですけど、松陰のひそかな恋物語も今回は盛り込んでます。松陰の友情と恋物語と、晋作との師弟関係がまざってきます。
幕末の動乱の中に巻き込まれると、刀をもって戦う方向に行くところを、役に立たないと思われてる落語家がそこに巻き込まれないバランス感覚でいるということが、松陰にとってはインパクトがあった。
この出会いはすごい想像力だなと、読み合わせの段階で震えて、読みながら泣いてましたからね。テンション上がってLINEで大春さんに「最高です!」って送っても、大春さんは書き終わって時間が経っちゃってるからすごくテンション低くて。それが悔しかったので長文で送り直しましたから。
――この作品を通して伝えたいことはありますか?
大春:「おもしろきこともなき世をおもしろく」の部分かなと思ってます。晋作が、それはお前次第だぜって言っていて、作品を見た人が頑張ろうって思えれば一歩前進かなと思います。それは過去の落語作品も全部そうなんですけど、とにかく一歩踏み出せよ、という気持ちは毎度入れています。
――最後に、どんな人に見てほしいか、教えてください。
大春:幕末好き、落語好きにも耐えうるネタは入れていますし、史実を知っていても知らなくても分かりやすくはしてあるので、幕末好き、落語好きも含めて、エンタメ好きに裾野を広げてあります。逆にその幕末嫌いとか落語嫌いの人も、一回見てほしいなと思います。
落語の作品をやるときは、少々年上の年齢層の女性を狙うんですが、佑介くんが演出することで華やかさも出てくるので、若者たちにも見てほしい。
若者は、この作品で吉田松陰に触れて、そこから深く知っていってもいいんじゃないかな。松陰も晋作もこれまで描かれた作品とはキャラクターを変えているので、そういうところも楽しんでもらえたら。
三浦:今回の松陰は人間ぽいですよね。
大春:書きながら、「頭悪いなあ」と思ってましたけどね。でも、こういう人でないと時代は変えられないと思います。
三浦:大春さんの脚本は、すごく門戸が広い。どんな人が見ても楽しめる。落語の作品は人を選ぶイメージがあるけれど、落語本来の門戸広く誰が見ても楽しめるという部分を描いているので、演出としてはそれを後押しして、派手にしたり、笑える部分を増やしたりして、楽しく見られる作品だと思います。やっぱり特に若い人たちに見てほしい。高校生大学生が見たら、すごいテンション上がると思うんですよ。
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