――ソニンさんはワールドプレミア公演に出演するのは初めてとのことですが、柚希さんは宝塚時代にも、のちに再演されるようになった作品の初演に出演されていたことがありますよね。
柚希:「FACTORY GIRLS」が再演されるような作品になったら、その時に改めて「すごいことだったんだな」と感じると思います。日本初演の「ロミオとジュリエット」(2010年)をさせていただきましたが、あの時に自分が自然とやっていた振りがいまだに残っていたり、息継ぎせず歌ったものがそのまま歌い継がれていたり…。のちに演じる方はそのままやってくださるんだと実感しました。そういう意味でも意志を持って作っていかないといけないという責任感はありますね。
ソニン:それを聞いて、この作品が次につながるかどうかは私たちにかかっているんだなと今、プレッシャーを感じています。稽古もオリジナルが既にある作品とは違う感じになるんじゃないかな。私たち自身が作品を生み出すという機会はなかなかないので、すごくいいチャンスだと思いますね。
時間もかかるだろうしこれまでは通らなかった過程があると思いますが、作り上げるということが大好きなので、それを柚希さんと一緒に中心となってできることがすごく楽しみです。
――これまで海外で上演されたミュージカルにたくさん出演されてきたお2人ですが、どのようにご自身の役を作り上げられるのでしょうか?
柚希:「ロミオとジュリエット」の場合は日本初演だったので、世界で上演されたものを見て、「この場面はこの人を参考にしよう」というような形でした。また、ロックミュージカルではあるけれど、シェイクスピアの要素がないと「ロミオとジュリエット」として成立しないと思ったので、映画を見て勉強したり。そうやってミックスしながら、そしてそこに自分の色も足していきながら演じていました。
「オーシャンズ11」(2011年)は、ミュージカル化は初めてだったけど映画があったので映画を見て勉強しましたね。でも今回はトライアウト公演ということで、“こうであるべき”というものはない。でも自分自身が空っぽだと何も生まれてこないと思うので、しっかり勉強しなければ。生み出すまでに時間はかかると思いますが、自分たちで作り上げていけるのが楽しみです。
ソニン:私はオリジナルをリスペクトします。ミュージカルはキャラクターや楽曲のキーがオリジナルキャストに当てて作られているものが多いので、まずはオリジナルのものをベースに作っていきます。
また、その作品が日本で上演されている場合は、それを最初は聞かないようにしていますね。どうしても耳に残りやすくそれで歌ってしまうんです。そうなると自分のセンスが乗せづらい。さらにオリジナルで聞いていると、その言語用に作られているんだなというのも分かるんですよ。例えば、「日本語だと切れてしまうけど、元の音楽の構造上ここで切れてしまうと不自然なんだな。それならなるべくつなげて日本語でも伝わりやすいようにしよう」みたいに、オリジナルには結構ヒントが落ちているんです。
だからオリジナルが作られた過程を最初に理解して、さらにヒントがほしい時に別の国や他の方のものを聞いて付け足して作っています。
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