――初めに「泣く綾乃」についてお聞きします。こちら、どんな企画なのか教えていただけますか?
この企画が始まったのは、私が主演した映画で泣くシーンで泣けなかったことが発端です。泣けなかったシーンの後、マネジャーさんと一緒に帰っていたら、悔しくて泣いちゃったんですよ。で、そこからマネジャーさんと一緒に泣く練習を1年間やってきて…。
その1年間は毎日、泣いたらマネジャーさんにLINEでスタンプを送って。そうしたら、「毎日泣くっていうのにも労力がすごいかかる」ってマネジャーさんが気を使ってくださって。
私が知っている、お仕事で携わってくれたいろんな人たちに応援メッセージをもらって、それを写真に撮ってマネジャーさんが送り返してくれるっていうのを1年間続けたんですよ。
その話を板橋(基之)監督の方に話したら、「これ、(作品として)面白いんじゃないか!?」っていう話になって。そこから企画が進んでいきました。
――泣く練習というのは、どんな感じでやられていたんですか?
最初は、とりあえず悲しいことを思い出して泣いてみようっていうことで、音楽を聞くことから始めました。悲しい音楽を聞いて、泣くっていう練習をして、そこから自分でいろんなシチュエーションを考えるようになって。喜怒哀楽じゃないですけど、いろんなパターンで泣けるように練習しました。
――いろんなパターンというのは?
今までは演技の中でも「これは悲しいから、泣けるな」って思うところは泣けたんですけど、自分の感情と役の感情がマッチしていなかったときに「どうやって泣けばいいんだろう?」って、すごい考えるようになっちゃったんです。
だから、自分では考えられないようなことを予測して、泣くっていうことをやってました。喜んだときに泣くとか、楽しいときに泣くとかは普段あまりないので、そういうのも想定して練習しました。
――悲しくて泣くっていうだけじゃないんですね。
そうですね。
――その泣く練習は、今でもやられているんですか?
はい。前ほどではないんですが、そろそろ練習しなきゃなって思ったときに、随時続けるようにしてます。
――演技ではなく、実生活ではどんなときに泣いてしまいますか?
泣く練習を始めてから、すごく涙もろくなって。テレビを見ていて、ちょっとした感動する場面で泣いて、友達と一緒の時には「泣き過ぎだろう」って言われるくらい泣いてます。ちょっとしたことでも、泣けるようになりましたね。
――この作品は、工藤さんの悩んだ日々がモチーフということですが、その悩んでいたころのことって覚えてますか?
泣けなかったのも大きな悩みなのですが、それプラス、このお仕事をやっているといろいろと浮き沈みが激しくて。その沈んだときに、すごく病んでいたりしていて。「そういうのも、もっと出せたらいいよね」というのも、この企画の中にあるんですが。
一人暮らしを初めて1年くらいのときに、すごく病んでいたんです。お仕事がうまくいかないっていうのもがあったし、プライベートを充実させることが全然できなくて、心のバランスが乱れていたりしていました。
――なるほど。では、役へのアプローチや、役作りで意識していることってありますか?
普段の役だと、その人の職業とかを調べて、自分に近いものとか、その役柄に近づけるものを探していくんですが、今回の場合は主人公が私で、本名でやらせていただくので、監督からは「自然体でいい」「演技しないでほしい」と言われているんですよ。それも逆に難しいなと思っていて。
普通のプライベートのときの自分と、仕事してるときの自分って、ちょっと違うじゃないですか?「どこまでの自然体を出せばいいのかな?」と今考え中で、そこは監督とこれから話し合って、詰めていきたいなと思っています。
――「泣く綾乃」は劇団のお話ということですが、“舞台での演技”という部分で何か意識されていますか?
私自身、舞台のお芝居をやったのが、まだ1回しかなくて。今度、2回目があるんですが、経験が浅いのでいまいち分からないんです。
でも、劇団の独特な雰囲気というか、お芝居について熱く語ったりとか、チームプレーであったりとか、そういうのは今稽古中ですごく感じるので、その空気感をそのまま舞台が終わってから、映画にもつなげられればいいなと思っています。
――共演の落合モトキさんの印象も教えていただけますか?
まだ、お会いしていないんですが(※取材時)、作品は見せていただいていて、「桐島、部活やめるってよ」(2012年)という映画がすごく好きなんです。
「すてきな俳優さんだな」「お芝居がうまいな」と思っていたので、今回の映画でも一緒にいいお芝居ができればいいなと思います。
――これから撮影ということで、意気込みをお願いします。
10周年記念ということで、とてもありがたい企画をやらせていただくのですが、お仕事していたりとか、生きてるだけでも人間って挫折したりとかあると思うのですが、「そういうことを踏み台に頑張れるんだぞ!」というのを、この映画を見ていただいた方々に感じていただきたいので、私自身も全身全霊で“工藤綾乃”という役を演じられたらいいなと思っています。
そのためにもクラウドファンディングで皆さんの応援が必要なので、ご協力していただけたらとてもうれしいです!
――支援したことが自慢できる日が、来るかもしれないですからね。
そうなるように頑張ります! せっかく企画から私も参加させていただいていて、すごく思い入れのある作品になると自分でも思っているので、ご支援していただければうれしいです。
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