――最近は、個々でのお仕事でも多忙を極めるお二人ですが、そうしたソロ活動は、NON STYLEの漫才に影響してくるものなのでしょうか。
石田明:もちろん、変わってきます。というか、常にいろんなことに影響を受けて、日々形が変わっていくのが漫才の面白いところで。過去のネタがやりにくくなったりもしますし。
井上裕介:例えば、石田は結婚して、子どももできた。そうすると、「子ども欲しいねん」っていうネタはもうできないわけです。そんな風に、環境が変わると、できる設定・できない設定っていうのはどうしても生まれてくるので。もし僕が、政治家と討論するような番組に出るようになったら、「政治、分からんねん」っていう導入は成立しないやろうし。要するに、漫才をしている時と、していない時とでギャップが生まれるようなネタはできないんですよね。
――お二人とも、今年が30代最後のツアーとなるわけですが、やはり年齢は意識されますか?
井上:やっぱり、若い頃よりも如実に声が出なくなってきてるっていう(笑)。単独(ライブ)が終わるともう、しゃべるのがイヤになるくらい、しんどいですもん。前半飛ばしすぎると、終盤で声が出てこなくなるっていうこともよくありますし。だから最近は、“弱(じゃく)”のツッコミの技術も必要だなと思っていて。昔は“強(きょう)”のツッコミ、強パンチばっかり打ってたんですけど(笑)、歳とともに、中パンチや弱パンチを覚えていってる、という感じですかね。
石田:僕はむしろ、漫才が年々楽しくなってきてますね。ネタをじっくり楽しめるようになってきたというか。テンポもあんまり意識しなくなってきてますし、また逆に、「テンポの速いネタも1本作っておかなあかんな」みたいなことを考えるのも楽しかったりして。特にここ数年は、ネタの中に自分のやりたいことを詰め込むことができているような気はします。
――「M-1グランプリ」(テレビ朝日系)に取り組んでいた頃とは、やはり意識は違うようですね。
石田:違います。今意識しているのは、これから先、どれだけ違うタイプの漫才を世に残せるかっていうことですかね。
※インタビュー後編へつづく
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