前述の通り、今回の「アンビリバボー」では、杉田さんを主人公とした物語が二本立てで放送される。
時々、「自分は仲の良い友人だと思っているけれど、相手は私のことをどう思っているのだろう」と考えることがある。それが原因で、友人をご飯に誘えなかったりもする。そんな考えを持った私には、まぶしいくらいの“友情”の姿が、この物語には映し出されていた。
女性の私から見て、男性同士の友情というのはどこか女性同士のそれよりも強固だと感じることがある。ましてや、団体競技であるラグビー。常に周りを見て動くことが必須なスポーツである。杉田さんたちの間には、ラグビーを通して育まれた確かな絆があった。…と、友情を信じることができず、団体競技も、団体行動でさえもおっくうに感じてしまう私と杉田さんでは、根本からまるで違う。
しかし、そんな杉田さんも一度は仲間との連絡を断ってしまう。どんなに心が強い人でも、そう思うことがあるのだなと、ここで少し安心した部分もある。その一方で、杉田さんがいない間も、仲間たちは彼のことを思っていたし、誰も彼のことを忘れてはいなかった。
このやり取りを見ていて思い出したことがある。大学時代、軽音楽部に所属していた私にも、部活から足を遠ざけていた時期があった。行事のたびに好きなメンバーでバンドを自由に組むスタイルだったのだが、私の入る隙はないという思いや、私じゃなくてももっと上手な人がたくさんいる…といった偏屈な考えから、週一回の全体での集まりにもあまり参加しなくなっていった。
しかし、そんな私を見かねてか、バンドを組もうと誘ってくれる人がいたし、杉田さんが部に復帰してすぐ元通りのコミュニケーションを取れるようになったのと同じように、部活に顔を出せば変わらず笑顔で迎えてくれる仲間たちがいた。今でも、彼らと会えば、会っていない期間などなかったかのように話を始めることができる。杉田さんらのすがすがしい友情は、私が忘れていたことを思い出させてくれたと同時に、身近な“友情”を気付かせてくれた。
30代になり、富士登山に挑む杉田さんらの絆は、目に見えるくらい強いものとなっていた。仲間たちから離れた期間がありながらも、そんな友人関係を築くことができた杉田さんの姿から、“友情”は思っているよりも壊れにくいことを学び、私も、もっと友人たちに素直に接してみようかなと考えさせられた。
中には、けがをした杉田さんとその仲間たちという点で、少々うがった見方をしてしまう人もいるかもしれない。しかし、彼らの友情は、決して同情から生まれたものではないということも、彼らのやり取りや表情からはっきりと分かるだろう。そして、その、いつまでも男子大学生であるかのようなやり取りには、思わず笑みがこぼれるに違いない。
困難にぶつかりながらも杉田さんが壁を乗り越える様子、そして、それぞれが特別な思いを抱えながら挑む富士登山。また、「フォーエバー・フレンズ」という言葉がぴったりな彼らのやり取りにもぜひ注目してほしい。
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