大好きな「スター・トレック」の脚本コンテストに応募するため、自閉症の女性ウェンディが愛犬とともに数百キロ離れたハリウッドを目指して旅に出る物語。主演は、子役時代から話題作に出演し続けるダコタ・ファニング。さまざまな困難に直面していく少女の姿が、チャンスをつかむために必要不可欠な心の姿勢を教えてくれる人間ドラマです。
“自閉症”というワードに一瞬臆してしまうかもしれないが、物語冒頭で丁寧に描かれるウェンディの日常を目にすれば、その苦悩や願いに寄り添うことができるはず。あなたや僕と同じで、好きなことがあり、苦手なこともあり、大切な家族がいて、時々分かり合えなくなってしまうこともある。少しばかり心のメカニズムが異なるだけで、僕たちと何ら変わらない。「スター・トレック」に関しても、この映画はあくまでも登場人物たちの葛藤や成長を描いているため、予備知識は必要ない。細かなネタを把握したいのであれば、軽くググっておく程度で大丈夫。
本作の原題『Please Stand By(そのまま待機)』とは、「スター・トレック」の劇中においてよく使われる言葉。もしあなたが日常生活において「そのまま待機」と言われたのなら、何をするだろう。待機=休憩と捉えてはいないだろうか。読んで字のごとく「機」を「待つ」のが“待機”で、好機が訪れた際、しっかりつかみ取れるよう準備しておくための時間。旅の途中、ウェンディはさまざまなトラブルに遭遇し、度々「待機」状態に陥ってしまう。だけど、待機中の彼女は常にハリウッドへたどり着くための手段を模索し備えていた。だからこそ、彼女の想いは着実に歩みを進めていくのだ。戒めと言ったら大げさだけど、待機中の自分は何をしているだろうと、己を見つめ直すキッカケを彼女が与えてくれると思います。
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