シンガーソングライター・岸洋佑「芸能活動を一度辞めて、再び戻るなんて気持ちは1mmもなかったときに作った曲です」【インタビュー後編】

2019/10/15 08:05 配信

音楽

9月25日に2ndミニアルバム「THE ONEMEN’S」をリリースしたシンガーソングライター・岸洋佑。今作の1曲目を飾る「ごめんね」は、つんく♂が作詞を手掛けており、“令和のシングルベッド”に仕上がっているほか、ミュージックビデオには岸の高校時代からの親友で俳優の吉沢亮が出演しているなど、注目を集めている。「この曲で人生の勝負を掛けたい」と意気込む彼に、今作の制作秘話と、今月25日からスタートするツアー「YOSUKE KISHI PRESENTS “THE ONEMEN’S”LIVE」について語ってもらったインタビューの後編。後編では、彼のサラリーマン時代のお話も。

サラリーマン経験もある岸撮影=下林彩子


実体験から生まれた楽曲も収録


――今作に収録されている5曲(初回盤/通常盤はボーナストラック含め6曲)のうち、「Door」「夏のシンパシー」「牛丼の歌」は岸さんの作詞作曲による楽曲です。岸さんは過去にサラリーマンをしていた経験もお持ちだそうですが、「Door」という楽曲はその時代を彷彿とさせるものですね。

岸:まさにサラリーマン時代に書いた曲です。10代の頃から始めた芸能活動を一度辞めてからのことで、再び芸能界に戻るなんて気持ちは1mmもなかったときに作った曲なんです。

――芸能界に戻る気はないけど、音楽活動は続けていたという感じですか?

岸:いや、音楽も辞めてました。芸能界を辞めたときっていうのは、精神的にも肉体的にも全てにおいてどん底で。もう音楽はやらないって決めていたんです。でも、サラリーマンになったとき、もちろん未経験だったんですけど、上司に教えてもらいながらやっていくうちに営業成績がトップになって。そのときに思ったのが、よく考えてみたら、16歳で芸能界に入って、辞めるまでの5年間、1回も褒められたことがなかったなって。サラリーマンになって初めて「お前、すごいじゃん」って言われて、急に人生が楽しくなったんです。それまで皆無だった自信も少しずつついてきて、それで、芸能界に戻る気はないけど曲を書いてみようと思って作ったのが、この曲だったんです。

――<いつかの夢と少し違ってしまったけど>という表現は、そのときの心情を示しているんですね。

岸:そうなんです。そのあとに<それでもきっと 進む先にはほら 何かが待ってる>と続くんですが、会社で頑張っていたらいいことがあると思いながらも、どこかで(音楽活動に)未練が残っているから曲を書いているわけで……。その頃からライブハウスで歌うようになったら少しずつお客さんも増えてきて、もう一度芸能界でやってみようという気持ちになったんです。

――そんな岸さんの経験が、この曲の説得力を増しているような気がします。

岸:曲を作った当初は、弾き語りで、もっと暗く、荒々しく歌ってたんです。未練が音や歌に現れていたというか。でも、今はありがたいことに少しずつ夢が叶い始めて、そしたらこの曲がちゃんと歌えるようになったように思えて。第一志望の道に進めなかった人は、絶対いると思うんです。でも、仕事をしながらでも好きな道をやることってすごく大事で、そういうことを僕は下の世代に伝えられるなと思ったので、今回は明るい応援歌になるように意識してアレンジしてもらいました。

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