――麟太郎の子供時代を演じた牧純矢くんと外川燎くんのお芝居をご覧になられていかがでしたか?
意図的につなげる部分があったり、同じようなショットを狙うことがあったので、過去パートの映像は事前に見させていただきました。子供たちが本当にステキで、彼らだけのパート2が見たくなるぐらい大好きでした。
――二人のお芝居を意識されたところもあったのでしょうか?
年月が経っても根本的には変わっていないところがありつつ、表面上は分かりやすくやさぐれているというのをやりたかったので。そこは過去パートの皆さんのお芝居を意識してやりました。
――「撮影中は家族が動き出した瞬間を何回か感じ、鳥肌が立ちました」というコメントを出されていましたが、家族の関係性で意識されたことはありましたか?
子供たちが出ている過去パートを先に撮ったんですが、その撮影が始まる前に大人たちと子供たちが集まって本読みをしたんですね。それがすごく大きくて、自分たちの撮影が始まると、自然とこの人たちは家族なんだと思えるようになりました。
――戸田恵梨香さん演じる美也子とは実の姉弟ですが、窪塚洋介さん演じるシュンは親の再婚によってできた血の繋がらない兄という設定です。お二人と共演された感想を教えてください。
戸田さんとは今回が初共演となるのですが、最初からすごく姉貴感がありました。なので、僕は自然と弟になれたように思います。窪塚さんとはこれまで何度も共演していて、お会いするたびにカッコイイ方だなと思います。麟太郎にとってシュン兄は義理の兄ですが、窪塚さんは絶妙の距離感と温度感をずっと保ってらっしゃって、さすがだなと思いました。
――シュンは22歳の誕生日に家を出ていってしまいますが、麟太郎にとってシュンはどのような存在だったと思いますか?
憧れですかね。自分にないものを確実に持っていて、そこに憧れがあるけれども、自分はそうなれないというのをわかっている。ただ、シュン兄は自分の好きなことや才能に気づけている人なので、麟太郎が写真家を目指したのにはシュン兄の影響もあったのかなと思います。
――父親役の永瀬正敏さんとは直接的な共演シーンはなかったと思いますが、永瀬さんの俳優さんとしての印象は?
過去パートを見たときに、永瀬さんが過去パートの温度感を確実に台本ではないところで作り上げられていて、それがすごいなと思いました。自分にはなかなかできないことですし、永瀬さんの人間力を感じました。
――では、最後に読者へのメッセージをお願いします。
家族ものではありますが、いわゆる家族ものとは違った作品になりました。人間が生きていくうえで大切な人との距離感や愛情がとても正直に描かれていて、誰の心にも響くものがあると思います。僕はこの映画の複雑なんだけどポジティブなところが大好きなので、そういったところを楽しんでいただけるうれしいですね。
取材・文=馬場英美
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