――「スカーレット」の音楽を作曲するにあたってイメージしたことなどはありますか?
このドラマは川原喜美子という女性が、男ばかりの陶芸の世界に入っていくお話ですので、まずメインテーマなどは力強く、ちょっと土臭いタイプの曲が必要だと思いました。もともと私はすごく変わったアバンギャルドな音楽か、繊細で優しいナイーブな感じの音楽を得意としているので、力強い、土臭い、粗削りというイメージは、これまでの自分の作品にはないんです。
でも、そこは今回の作品では大事なところなので、あまり細かいことにこだわらない、大きくて力強いもの、粗削りなものを作ろうということを最初から意識しました。全体で最低でも60曲は必要だとうかがっていましたから、そこにとどまることなく、全体のバランスを考えながら、いろいろな曲を作っていきました。
――中心となる楽曲や、そのメロディー作りで心がけたことをありますか?
「炎の夢―Flamberge」( 第1週・第1回にて、喜美子が窯の中の炎を燃やす冒頭シーンからタイトルバックに入るまでに使用している曲)は、今回のメインテーマの曲の1つ。ちょっと力強いアフリカンリズムが感じられる曲です。
何事も明るい方向へかえていく、強い喜美子の行動力や、窯の炎、情熱、スカーレットの赤の色などすべてを兼ね備えたような曲ですね。サンプリングによる打ち込みで、アフリカのジャンベ、トーキングドラム、バラフォンなど、さまざまな打楽器の音を混ぜ合わせていろいろリズムを重ねました。
「エカルラート」(第2週・第11回にて、喜美子と信作[林遣都]が帰り道を歩くシーンから喜美子と照子[大島優子]が丸熊陶業で雑談するシーンに使用している曲)は、温かさや悲しさ、切なさなど、女の子的な部分を表現したちょっとおしゃれな感じの曲で、「炎の夢」とともに、もう1つのメインテーマの曲です。
「エカルラート」とは、フランス語で「スカーレット」の意味。もともとテーマとして作ったわけではなかったのですが、音響デザインのスタッフの方が「これはテーマにしたい」と言ってくれたので、少し大曲にして仕上げていきました。
テーマにしてはちょっと切ない感じですが、そこが今回のドラマにあっている気はしています。もともとは歌詞をつけて歌にしたかったのですが、今回はとりあえず楽器の曲にして、ピアノソロなどいくつかのバージョンを録音しました。
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