カンテレのアナウンサー12人による朗読会イベントが12月8日(日)に大阪・カンテレなんでもアリーナで開催され、その模様を12月25日(水)にカンテレでオンエア。今回は、竹上萌奈アナが初めて書いたオリジナル戯曲が上演される。
この朗読会イベントは、劇作家・演出家のわかぎゑふが演出を手掛けるもので、今回が18年目。
“おはなしの暖炉”をテーマに「寒い冬に心温まる話」を竹上アナの他、関純子アナ、大橋雄介アナ、豊田康雄アナ、若田部克彦アナ、林弘典アナ、村西利恵アナ、堀田篤アナ、高橋真理恵アナ、新実彰平アナ、服部優陽アナ、谷元星奈アナが朗読する。
子供のころから読書好きだったという竹上アナは、朗読会用の上演作品を選定する際、自身の祖父母をモデルにしたストーリーを書いてみたいと思い立ち、2カ月かけて「まんまるな君」を執筆。
A4用紙7枚にまとめられたこの戯曲は、朗読作品であることを意識し、文節は短く、耳に残るように文章を読み上げながら書いたそうで、作品を読んだわかぎゑふは「萌奈ちゃんの、これいいやん!」と即採用した。
「まんまるな君」は、認知症になった妻を優しく見守る、夫の目線で書かれた老夫婦の物語。妻はまんまるな顔立ちで、勝ち気なお嬢様。認知症になって以来、妻は夫を「じいや」と呼び、無理難題を言いつけるが、夫は妻に合わせて「じいや」を演じる。
認知症という現実に悲観的にならず、妻の見ている世界を共に楽しみながら、かけがえのない今を慈しむように寄り添う夫。何かと妻に振り回される夫の様子がユーモラスに描かれ笑いを誘うが、時折妻が見せる“夫への不器用な愛情表現”に「夫婦の絆」を感じられる。
実際、竹上アナの祖母は勝ち気な材木商のお嬢様で、亡き祖父は寡黙で優しい夫だったとのこと。人物設定や作品中のエピソードは、事実に基づいて描かれているが、認知症になったのは実際は祖父の方だったという。
竹上アナは「祖母が明るく、一生懸命に認知症の夫を介護する姿を見て、この作品を書いてみようと思いました。でも、実際の介護は大変だったので、そのまま書くとルポルタージュのようになってしまいます。今回は、物語として温かい出口にしたいと思ったので、フィクションを加えました。祖母を見て、人は何歳まで恋をしていられるのだろうという思いもありました」と話す。
竹上アナは、パワフルで仕切り屋の祖母が祖父を連れ回して、よくデートをしていたと明かし、「祖母は祖父の文句を言いながらも、祖父の前に出るときは、いつも必ずきれいにしていました。祖父が亡くなった後も、毎朝きちんとお化粧をしてから、『おはよう』と遺影にあいさつしているんです。そんな祖母って、すごいなと思いました」と振り返る。
物語のテーマになっている「夫婦の愛」は、竹上アナの祖母が夫に恋し続けた姿が基になっており、竹上アナは「あらためて、自分の家族、好きな人など、大切な人がそばにいるありがたさを感じていただけたら」とメッセージを送った。
なお、朗読会ではショートショートの名手と呼ばれるオー・ヘンリー作「賢者の贈り物」や、わかぎゑふオリジナル戯曲「ビバ・マリア」なども上演される。
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