――岡田さんはもともと「男はつらいよ」シリーズがお好きだったのでしょうか?
“寅さんマニア”というわけではありませんが、これを機会に全部入手してみようと思ってDVDマガジンを購入しました。
そしてぶっちゃけると、これはおそらく山田さんご自身がやりたいんだろうなという空気がプンプンしていたんですよ(笑)。
ただ、少年時代の回想で、(映画シリーズなどで寅次郎を演じていた)渥美清さんがいない中、語りだけで聞かせることは映像ではできないからどうするのかなと思っていたんです。でも何年経っても映像化の話を聞かないので、提案してみようかなという感じでした。
朝ドラ(連続テレビ小説)を何度か担当していますが、時代背景などが朝ドラにぴったりだとしても半年間かけて描くには難しい企画ってたくさんあると思うんですよね。
そういう意味ではこの作品はぎゅっと凝縮してやれたらいいなと思い、それを山田さんにも快諾いただいてこういった形になりました。
――岡田さんが「男はつらいよ」シリーズの中でお好きな作品は何ですか?
「男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼け」(1976年公開)が何度見ても好きですね。宇野重吉さんや若かりし頃の寺尾聰さんが出ていて、シナリオ的にもパーフェクトで…。
僕は本当に寅次郎さんが誰かと結ばれるのであれば、この作品の太地喜和子さん演じるマドンナと結ばれてほしいなというくらい好きです。
マドンナが毎回違うのを楽しむというのも「男はつらいよ」シリーズの醍醐味だと思うのですが、みんなそれぞれすてきで…。
寅次郎にお似合いな太地さんや4回マドンナを演じた浅丘ルリ子さんも居れば、若尾文子さんのマドンナみたいに寅次郎にまったく気持ちが動いていないヒロインが居たり…。それはそれで罪作りな感じでめっちゃ面白いですよね(笑)。
また、脚本家の中でよく話題になるのは、「男はつらいよ 寅次郎相合い傘」(1975年公開)の「メロン騒動」。
頂き物のメロンをみんなで食べようと分けている時に寅次郎の分を忘れていて、食べているところに寅次郎が帰ってきてしまうというそれだけのシーンなんですが、本当に素晴らしいなと。コメディーの定番のような感じで、本当に手本になるシーンですね。
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