――話は変わりますが、最後に、松岡さんが声優として大事にされていることを教えてください。
松岡禎丞:これは誰しもが思っていることだと思いますが、やっぱり“気持ち”ですね。自分の気持ちと役の気持ちって、全てを一緒にはできないけど、同じ部分はやっぱりあるんですよ。それをどこまで演技に落とし込めるか、声優って、経験を重ねれば重ねるほど、できることが増えてくるので、決して終わりがないし、正解もないんですよね。
それから、他のキャストの方々の演技をよく“聴く”こと。つまり、「この声優さんは、こんな芝居をしてくるんだ」と感じながら、それに瞬時に対応していく、ということです。これがリアルタイムでできるようになれば、声優としての幅も広がっていくと僕は考えています。自分一人で考えた演技をそのまま現場に持っていっても、独り善がりとまではいかなくても、単純に自分が気持ちいいだけの演技をしてしまう可能性はありますから。
あとは、アニメをアニメとして捉えない、ということですね。これは僕の考え方なんですけれども、アニメって2次元の世界じゃないですか。でも、この世界の中の人たちは生きている。僕はそう思うんですよ。だから、2次元にすむ彼らを今、3次元の僕たちが見ているということは、もしかしたら、3次元の上の次元の世界にすんでいる人たちが、僕たちを見ている可能性だってある…ということをよく考えるんです。もちろん、いかにもアニメ然とした作品もありますが、僕は基本的に、全ての作品をアニメではなく、リアルな世界と捉えて、声を吹き込んでいます。「冴えカノ」の倫也もそうでしたし、これからもその気持ちを大事にしながら、与えられた役を演じていきたいですね。
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