"マナ"という能力を持つ貴族のための養成校に通いながら、マナを持たない特異な少女・メリダ=アンジェルと、その才能を見出すため家庭教師として派遣され、無才ならば暗殺する任務を負った主人公・クーファ=ヴァンピール。2人が裏の任務や、それぞれの運命と対峙していくTVアニメ「アサシンズプライド」がAT-Xほかで放送中。
ヒロインのメリダを演じるのは「メルヘン・メドヘン」「ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンライン」で主役を務めるなど、今注目の若手声優・楠木ともり。さらに、自ら作詞・作曲、そしてギターやピアノ、トランペットも演奏でき、アーティストとしても活躍中の彼女が、11月27日(水)にリリースされる本作のEDテーマ「異人たちの時間」もメリダ=アンジェルとして担当。今回は、インタビューを通して彼女のアーティストとしての側面に迫る。
――「異人たちの時間」の第一印象をお聞かせください。
「原作を全部読み終わっている状況で、最初に歌詞に目を通させていただきました。その時の印象は、歌詞を読んでいるというよりは、メリダの母に対する手紙を読んでいるような感覚で、手紙にメロディーを付けた感じがしました。お母さんとメリダの関係が、この1曲で伝わってくると思います。曲を聴いた時は、バラードかなと思いましたが、想像以上にしっとりしていて。ピアノの前奏があるんですけど、TVサイズだと歌から入るので、空気感を大事にして歌いたいなと思いました」
――作中のメリダは気高くて凛々しい、自分の弱さを見せない少女ですが、曲中のメリダは、1人の時の彼女を描いていますよね。
「そうなんです。貴族としてのメリダというよりは、私たちと何も変わらない1人の女の子としてのメリダの表情が曲には詰まっていて、すごく胸を打たれると思います」
――キャラクターソングを歌う時に意識していることや、"アーティスト・楠木ともり"として歌う楽曲とは違う部分についてお聞かせください。
「自分の歌を歌う時は、作詞・作曲させていただいている楽曲なので、自分の気持ちを最優先して、伝えたいことを歌っています。キャラクターソングは"私"という概念は全くなくて、『本当にそのキャラクターが歌っていたら』ということを意識しています。今回のレコーディングもずっとメリダとして歌っていましたし、作曲・編曲を担当されたMONACAの高橋邦幸さんから『歌うというより、語りかけるような感じで』という言葉をいただいたので、歌詞を読み込んで『ここはこういう気持ちで、こういう表情で歌うんじゃないか』まで考えて歌いました。自分の曲の時も歌詞は大事にしていますが、それ以上に歌詞から読み取れる表情や、気持ちを優先しました」
――歌詞の中で、心に残ったフレーズがあれば教えてください。
「全部好きで、どれか1つでも欠けたら『異人たちの時間』の空気感は成り立たないと思っていますが、最初の『ねぇ ママってどんな恋したの どんな愛見つけたの』と、最後の『ねぇ ママって恋しい時 どう伝えていたの』です。そういう気持ちは、私たちもお母さんに抱くと思うんですが、そのリアル感というか、聞いているだけで伝わってくる温かさみたいなものがあって。でも、実際は聞けない切なさに、歌詞を読んでいて泣きそうになりました」
「他の部分は、モノローグでも作品を見ると伝わってきたり、貴族としてのメリダの解釈でもいいのですが、この最初と最後のフレーズは1人の女の子としてのメリダじゃないと出てこない言葉だと思ったので、この歌詞の重みはすごく大事にして、こだわって録りました。『このニュアンスは、もうちょっと消え入る感じがいいかな』『ここはもう少し気高い感じでいきたいです』など、曲自体はそれほど長くないですけど、何度も録り直しました。演技以上に難しかったかもしれないです」
文=中村実香 撮影=中川容邦
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