初めてお話をいただいた時、本当に私で合っているの?と驚きました。
今回、歌手デビューとなり、映画主題歌に初挑戦です。それがこんなにすてきな、私が大好きな作品で、さらに岩井俊二監督、小林武史さんに作っていただいた唄を歌うことが、非常に重大なことだと感じました。
歌詞、メロディーともに一瞬一瞬、聴き逃せなく、ぜんぶ余すことなく歌わないと、と心がけました。
歌うことは楽しいですが、まだまだ未熟なので、一つの映画を作るような、お芝居をするような感覚で歌いました。
スクリーンで最後に自分の歌が流れるのは、楽しみですが、すごく誇らしげな気持ちになるか、穴に入りたくなるか、どちらかだと思います(笑)。
主題歌は、歌独自の世界観はもちろん、映画との関係性というのも必要で、今回、映画のエンドロールの使いどころも、透明感のある森さんの声にピッタリなので、トータルとしてうまくいろいろな要素がつながることになると思います。
森さんは、レコーディングを一回一回重ねるごとに成長してくるんです。最初から表現しようとする気持ちがあり、やっぱり女優さんなんだなと思いました。歌詞の意味を岩井さんに確認したりしていて、その後のレコーディングは、また格段に良くなり、2歳くらい年齢が上がったような感じで、最後はあどけなさだけでなく、女性としての色気が出てきたのかなと思いました。
女優だけでなく、歌い手としての顏もどこかで忍ばせていってほしいなと思います。
イソップ童話の一つをモチーフにしつつ、ショートフィルムも別に作るような感覚で、映画とほどよい距離感を保ちつつ、いろいろな解釈ができる歌にできればと思い、作詞しました。
森さんは、やはり根に女優というものがあるので、「うまく歌おう」というよりも、「表現しよう」というアプローチが、撮影現場で役者としてやっていたアプローチに共通するものがあるんだな、と。
歌だけですが、演じるような表現で一つ一つの言葉に宿すものがあって、まだあどけない女の子なのに、すごく丁寧に、文学的に表現していて、とても感心しました。
映画の主題歌には、そこまで見てきた流れをうまく支えて、余裕を持ちながらゆるやかに着地していくような役割があると思いますが、そこはとてもうまくいったかなと思っています。
映画を見る前に曲だけ聞く人もいて、そういった方々がどんな映画を想像するかな、なんて思いをはせつつ書いたので、そういう楽しみ方もしてもらえたらうれしいです。
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