松田龍平、芥川龍之介役は「一人の男として何を思うのかを考えながら演じました」<ストレンジャー>

2019/12/28 08:00 配信

ドラマ

29歳の芥川龍之介を演じた松田龍平撮影=山田大輔

日本を代表する文豪として、誰もがその名前を知る芥川龍之介。その彼がすでに「羅生門」、「鼻」、「地獄変」などを発表し、文壇の寵児(ちょうじ)として一躍名をはせていた時代(1921年・大正10年)に、新聞社の特派員として上海を訪れていた。

その史実と当時29歳だった芥川が記した「上海游記」ほかを原案に、彼が上海に渡った際のできごとを描いた「ストレンジャー~上海の芥川龍之介~」(12月30日[月]夜9:00-10:13、NHK総合・BS8K・BS4K)がスペシャルドラマとして放送される。

主演を務めたのは、数々の映画で高い評価を得ている松田龍平。その彼に芥川龍之介を演じた感想、動乱のさなかにあった100年前の中国・上海を8Kで再現した映像についてなど、本作の見どころについて語ってもらった。

自身に重ねて芥川を演じる


――ドラマでは芥川が上海で過ごした4か月間が描かれますが、演じるうえで意識されたことはありますか?

芥川が初めて海外に渡航したときの話なので、僕自身が初めて海外に行ったときに、どういう気持ちになったのかを重ねて演じたところはありました。

――松田さんが初めて海外に行ったのはいつごろで、どこの国だったのでしょうか?

多分、小学生のときだったと思います。行ったのはイタリアで、その当時はまだ旅行者が少なく、アジア人が珍しかったんでしょうね。今でこそ、そんなことはないと思いますが、場所によっては「アジア人がいる」と好奇な目で見られたことを覚えています。

とはいえ、芥川は今から100年も前に自分が生まれ育った国とは文化も言葉も違う土地を訪れていて、今とは比べ物にならないぐらい大変なことが多かったはず。それこそ死を覚悟するような旅だったんじゃないかなと思います。なので、文豪を演じるというよりも、一人の男として違う環境に行ったときに何を思うのかを考えながら演じました。

――確かに今は便利な世の中になっていますし、言葉が通じなくてもなんとでもなるでしょうが、100年前となると事情はまったく違いますよね。

ドラマは芥川が上海の港に着くところから始まるんですが、よくあの状況で出迎えの人とすんなり出会えたなと(笑)。もし、あそこではぐれたら二度と会えないでしょうから、芥川としてはかなり恐怖心があったのではないかと思います。でも、そのぶん刺激も強かったんでしょうね。

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