有村架純、林遣都の主演作も!12月初放送映画3作品を厳選!<ザテレビジョンシネマ部>

2019/12/01 07:00 配信

映画

『それだけが、僕の世界』(2018)


『それだけが、僕の世界』(c) 2018 CJ E&M CORPORATION, JK Film ALL RIGHTS RESERVED


『国際市場で逢いましょう』(2014)のユン・ジェギュンが製作総指揮を務めるイ・ビョンホン主演作。たったひとりで生きてきた元プロボクサーの兄ジョハ(ビョンホン)と、母に守られ生きてきたサヴァン症候群の弟ジンテ(パク・ジョンミン)の出逢いを通し、人生を歩んでいくために必要な家族の絆を映し出す。

家族だからこそ許せることもあれば、家族だからこそ許せないこともある。最悪の場合、他人であれば縁を切ってしまえば良い。やがていつかは風化し、記憶の彼方へと消え去っていく。しかし、家族の関係性だけはそうもいかない。血のつながりだけは断ち切れない。許せなくとも許したいと願ってしまうのが、許したくとも許せないと胸を締め付けられてしまうのが、家族のつながりというものではないだろうか。

『それだけが、僕の世界』(c) 2018 CJ E&M CORPORATION, JK Film ALL RIGHTS RESERVED


偶然の再会を機に、絶縁状態にあった母、存在すら知らずにいた弟と暮らすことになるジョハ。本来であれば幼少時代から成人するまでの間に経験しておくべき家族の時間を過ごしていくなかで、彼に欠けていたものが何なのかが徐々に浮かび上がってくる。そして、己の経験を糧に弟をより良き道へ導こうと、兄としての役目を果たしていく。血のつながりに関しては初めから家族であるけれど、劇中で描かれていくのは、家族が本当の“家族”になっていくまでの時間。人それぞれに家庭事情も異なるため一概には言えないが、家族の絆を知っている人が観れば、それが欠けている彼ら家族の絆が構築されていく過程を繊細に感じ取ることができるはず。往年の名作『レインマン』(1988)を彷彿とさせる兄弟のつながりと同時に、母親との関係性も色濃く絡む親子ものとしての側面も宿したあたたかい作品です。

三者三様の愛や絆のあり方を感じさせてくれる3作品とともに、今月も素敵なWOWOWライフをお過ごしください。

文=ミヤザキタケル



長野県出身。1986年生まれ。映画アドバイザーとして、映画サイトへの寄稿・ラジオ・web番組・イベントなどに多数出演。『GO』『ファイト・クラブ』『男はつらいよ』とウディ・アレン作品がバイブル。