原作を読ませて頂いて、信じるということについて深く考えました。自分の考えとは違うと思っていても、大切な人の考えを信じてみようと思ったり…
正しいか間違っているかの判断だけでなく、人はその人と、その周りをとりまく環境や人の想いによって見え方が変わってしまったり…
誰かを、何かを、たとえそれが自分の大切な人でも迷わず信じ続けることはとても難しい。そう感じました。私が演じさせて頂くちひろは、少しずつ自分の環境に違和感を感じつつも、悩みながら素直に物事をうけとめて真っ直ぐに生きている女の子だと思います。
これからちひろをどんな風に演じていくか、そしてこの映画の中で“信じる”ということは何なのか?ちひろと共に探していきたいと思います。
『星の子』という小説を読んで思ったのは、自分のことを置いといてでも人を思う気持ちです。敏感で多感な14歳の少女は風に揺れながら、飛んでいってしまいそうな小さな体で立っています。それでも自分のことのように人を思うのです。これなんだろう?と思ったら、優しさでした。この映画が清涼な一陣の風のように、皆様を優しさで包み込むようになればと思っています。
この小説を書いた後、私の信仰の有無について訊かれる機会が何度かありました。信仰に限ったことではありませんが、私は「信じる者」でも、「信じない者」でもありません。「信じたいのに、信じることができない者」であり、「信じていたことが、だんだん信じられなくなってくる者」です。信じる、信じない、の狭間にあるこの物語を、映画という形で味わえること、とても楽しみにしています。私が掴み損ねたかもしれない、ちひろの心の深部に映像を通じて触れられるのではないかと今から期待しています。
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