――バイクをモチーフにしつつ、誰しも経験のある思春期ならではの心情を描いた青春映画ですよね。
“THE思春期”という感じですね。私は母子家庭でも一人っ子でもないので、くるみという人格がどうやって出来上がったのか、いろいろ考えました。監督からは「あまり深く考えなくていいよ」と言われましたけど、お母さんとぶつかり合うシーンを演じるに当たってはその辺が分かっていた方が良いなと思って、鶴田さんとじっくりお話させていただきました。
――その辺も含めて、とてもナチュラルに演じていたなと思います。
本当ですか? ありがとうございます。これまでの作品もそうでしたけど、素の私のままで演じられる役だったとは思います。映画「咲-Saki-阿知賀編 episode of side-A」(2018年)は漫画やアニメの実写版だったので、原作に忠実に演じるという大前提はありましたけど。今回の映画の役は元気で活発なところは私と変わらないですけど、育った環境の違いに関しては意識しました。
――せりふを発する声が良かったり、動きに瞬発力を感じさせたりするのは、普段の音楽活動で培われたものかなと思いました。
ライブでアドリブ慣れしているので、せりふ覚えは苦手なんですけどね(笑)。台本に書かれているせりふを自分の言葉に変えちゃうくせがあるんですよ。何テークか撮る時、そのたびに全然違うせりふの言い回しをしちゃったり。監督からも「その場で出てきた言葉がリアルなくるみの言葉だから大丈夫」とか「それはちょっと、くるみらしくないかな」とか言っていただけたりしたので、演じやすかったです。
――1本の作品の中で感情の揺れ動きが大きい役でしたが、撮影は台本の頭から順に撮っていった感じですか?
割とそうでしたね。(劇中で)バイクの修理がどんどん進んでいくので、それに合わせて撮影しないといけないのもあって。前のシーンに戻って撮影する時は、修理したバイクをまた崩して撮って、一晩で同じ状態に戻していただいたなんていうこともありましたけど。
――この映画を通じて、バイクに興味を持ったりしましたか?
PR動画の撮影でバイクの後ろに乗ったときは、“これが風になる”っていうことかと思いました。自分で運転するのは怖いですけど、バイクを見るのは好きになりました。バイクが停まっていると、つい見ちゃいます。「あ、キックタイプだ」なんて。
――ほぼ同世代の共演者の方たちとの現場の雰囲気はどうでしたか?
よくふざけて遊んでいましたね。くるみの小道具の携帯で写真を撮り合ったり、控え室で一緒にテレビを見たりして。でも、ぶつかり合うシーンの前は、気持ちを作るためにあまり話さないようにしていました。
――くるみが醍醐さん演じる亮太に対して、恋愛感情があるのかも気になるところですが…。
そこはふんわりした感じなので、見てくださった方のご想像にお任せします。たぶん亮太はくるみのことを好きなんでしょうけど、くるみは鈍感だから気付いていないのかなぁ。そんなもどかしい青春っぽさを感じてほしいですね。お母さんとか周りの人から見たら、もどかしくて仕方ないと思います(笑)。
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