――カッコいいダンスが武器になったのは、ダンスリーダーを担当している藤原亜紀乃さんや神崎紗衣さんの成果でしょうか。
そうですね。特に藤原は舞台でも活躍していて、ハートが強い。石の上にも3年といいますか、地道に亀のように歩んできた子で、苦労しては叩かれ、汚れ役をやり、決してかわいいポジションじゃないのにコツコツ頑張ってくれています。
――第2世代以降、カッコいい曲調の歌が増えた印象ですね。ソロで歌手活動もしている川上奈々美さんもいますし…。
川上も前よりよくなりました。ただ、カッコつけちゃうところを笑いに変えてあげられたら、絶対もっと人に愛されると思うんですよね。彼女だけじゃなく、ソロでも活動しているっていうのは難しいところで、『ユニットのやり方』と、『個人でのやり方』を一緒にしちゃダメなんです。ユニットでは自分を殺さなきゃいけない時がある。それができるかどうかで、ユニットの質は変わってきます。
ユニットでは『適材適所』が大事。「自分の番だ」と思ったところで前に出るべきなのに、全部前に出ようとして「どうしていいのか分からない」となる子が多いです。そろそろ分かるだろって思うんですけど、いまだに分からないのが黒沢美怜です(笑)。何回も教えてますが、彼女が分からないことがこっちも分からなくなる不器用さで…でもそこもひっくるめて笑いに変えてあげたいですね。
――今のユニット、完成度は何点くらいでしょう。
僕の中ではまだ45点です。今、特に頑張ってくれているのは市川(まさみ)、吉澤、藤原、神崎、松岡(凛)かな。全員がそうなってくれるといいんですけどね。ユニットってちょっとしたきっかけで一気に100点になれる可能性がある一方で、一人でも引いてると100点にはなれない…そこが現役メンバーの弱さでもあって、いわゆる『ONE TEAM(ワンチーム)』になってない。一つのライブ、一回の収録をきっかけに変わることもあるから、今後に期待しています。だからこそ、時にはぶち切れますよ! ちゃんと言葉にして言わなきゃ分からないこともあると思うんです。
――ぶち切れるためにも情熱と愛が必要ですしね。
実際、愛があるからなんて口にするのは気持ち悪いですけど(笑)。それを感じてくれている子なんて、半分いるかいないかじゃないかな。成長してあとから気付いてくれたらいいですよ、それがまさに、みひろなんですけどね。
――恵比寿マスカッツでの活動で成長して、普段の本業にも生かせたら良さそうですね。
メンバーに言いたいのは、「マスカッツの活動が大変だ」っていうけど仕事だから大変なのは当たり前ということ。普段の本業の方が大変なはずなのに、マスカッツはサークルや部活みたいに思ってる節があるんです。だから決められたことや方程式を植え付けようとすると、それができなくて大変だって言ってしまう。
(山根:唯一分かっているのは三上悠亜ですね。元々所属していたユニットが、一晩で20曲覚えるみたいなことをしていたみたいですから(笑))
そう、プロ意識が高い子は言わない。だから「大変だ」ってネガティブなことを言う子は嫌いです。初代は「大変だけど楽しい」って言ってましたね。楽しむのが先にあるはずなんですけど、ユニットへの愛情の違いかな。一流のアーテイストやスポーツ選手は、ライブや練習が大変なんて言わないじゃないですか。
本業で成功している子はお姫さま扱いされているかもしれないけど、マスカッツではそうしないです。「自分だけ〇〇」って言う子は、ユニットにとって良くないですね。「自分だけ言われた」「あの子にだけ言ってる」とか気にするべきじゃないんです。こちらから教え続けることに甘えて結果を出さない、もしくは気付けない…それを人のせいにしてはダメなんです。
――学校みたいですね(笑)。
そう、学校と同じですよ、みんな入ってきた時は本当バカなんですもん。ある意味、病院だとも思ってますよ。
僕も業界に入った当初はバカでした、でもこの世界の先輩たちに言われて気付かされて、まだまともになりました。それと同じことを教えてるだけです。タレントで売れるっていうのは宝くじに当たるのと似ていて、そう簡単に当たるわけないんです。
――でも、第2世代の総合演出をしていて楽しい瞬間があるんですよね?
そりゃあね、番組でこっちが予想もつかないことで笑いをとってくれたり、ライブで楽しませてくれたりした時には「あ~初代にも負けていない子たちだな」って思います。
でも今以上にもっと僕らに食らいついて、市川とか吉澤とか川上みたいに、前のめりにマスカッツのことを考えてくれる子が増えてくれるとさらに良くなるんですけどね。
(山根:ちょっと遠慮がちな子が多いかもしれないです)
そうですね。「マスカッツをでかくしてやろう!」って全員がならないと。たとえば石岡真衣は以前は良かったけど…。
(山根:今ちょっと調子悪いですね)
「今この子が面白くなる」っていう状況だったらみんなでフォローしてその子を面白くする展開にする、そうすると自分の番になった時に面白くしてもらえる。それがチームワークじゃないですか。自分のことしか考えてないと、面白くならないんです。それで厳しいことを言う俺のことが怖くなって遠ざけようとして、話をしなくなるんです。するといつまでたっても分からないまま。もちろん聞いてくれたら伝えますけど、逃げてる子に教えようとは思いません。
頑張ってもがいてる子ってかわいく見えてくるもんなんです。今なら黒沢とかね、あとは神崎、松岡、小林とか。一生懸命お笑いを作ってやろうって思ってくれてます。
最近は桃乃木(かな)も良くなってきましたね。以前は「桃乃木かな」ブランドが残っていましたが、今はそれを捨てながらマスカッツのユニットモードになってきています。三上はもっとできるけど、遠慮してるんですよね。
(山根:ユニットでは個人優先じゃないことは分かった上で、三上は目立たないように、一歩引いている気がします)
そう、でも三上は一歩引かずに、一歩前に出てほしいと思っています。
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