ことし5月13日(金)でデビュー15周年を迎えるT.M.Revolution 西川貴教が、実に6年ぶりとなるニューアルバム『CLOUD NINE』をリリース。ここ数年は、自身がボーカルを務めるバンド、abingdon boys schoolとして活動するほか、地元・滋賀の“ふるさと観光大使”として大規模な野外フェス“イナズマロックフェス”を開催したり、ミュージカルで主演を務めるなど幅広く活動。さらに、今春はドラマ「おくさまは18歳」(CS・フジテレビTWOにて4月25日(月)、5月8日(日)に第1話をリピート放送)の主演と、NHK教育の新番組「スクールLive Show」(4月15日スタート、毎週金曜夜6:55)でCGキャラクター“にしかわくん”の声優にも挑戦している。多様な活動と並行しながらも、強い思い入れを持って制作されたニューアルバムや15周年を迎えた心境について、西川に聞いた。
(※東日本大震災の影響によりアルバムの発売日は3月30日(木)から4月20日(水)に変更。インタビューは3月上旬に行いました)
――T.M.Revolutionとしては6年ぶりのアルバムリリース。最近ではバンドや舞台、ドラマなどさまざまな活動を同時進行されていますが、あらためて、音楽活動のT.M.Revolution(以下、T.M.R.)とabingdon boys school(以下、a.b.s.)の違いを教えてください。
「6年ぶりのアルバムって…本当に申し訳ないです(苦笑)。ソロのT.M.R.は西川貴教という存在を使って、映像やアニメとのコラボなど、いろんな可能性を試してみようという実験的なプロジェクトと思ってもらえれば。バンドのa.b.s.はメンバー4人4様の音楽性があり、詞は自分、曲は全員で手掛けていることもあって、自分のルーツに近い音楽をやっていますね。音楽的な強い主張は、バンドの方があると思います」
――サウンドも大きく違いますが、それぞれの歌い方で特に意識している部分は?
「全然変えているつもりはないです。変えようと思ってやっていたら、あざとい物になると思う。歌って、話をする相手や楽器との会話だと思うんです。相手の出方でトーンも変わるし、変えなければ、自分の世界観を押し付けるだけで成立しない。ちゃんと音を聴いているとおのずと歌い方も変わる。僕は技巧派じゃないし、テクニックがあるタイプではないのですが、“ガツンとくる歌”や“なんか耳が持っていかれたりする歌”を歌えるボーカリスト、シンガーになりたいと思っています」
――さまざまな活動を行う中で、切り替えはどのようにしているんですか?
「“ガチャンガチャン”というより“カチカチ”とフレキシブルに切り替えている感じ。自分より相手や周りの方が混同するというか、迷惑だろうなと思います(笑)。セルフマネジメント、セルフプロデュース、アーティストとしての立場など、その場その場で慎重に言葉を選ばないといけないところはありますね。あと、複数の仕事を同時に進めるために基本、ニュートラルでいるようにしています。具体的な作業でいえば納期、期日が迫っている物から済ませたり、周りがサポートしてくれる状況にあるものは、自分が関わる濃さで優先順位を決めるとか…。切羽詰まって必死にやっていると、周りも諦めてくれるものなので…(笑)。まずはがむしゃらにやることです」
――15周年に向けて、昨年夏からから久々にT.M.R.の活動が続いていますが、バンドや個人としての活動時と心構えや周りの反応は違いますか?
「'09年から、地元・滋賀県を活性化させようと“イナズマロックフェス”という野外イベントをやってるんですが、2日間のうち1日目はa.b.s.で、2日目はトリでT.M.R.が出るんです。その映像をまとめて見ると、あらためてT.M.R.は、ああいう場所に映えるというか、しっくりくるなぁと感じます。T.M.R.は小さいお子さんも年配の方も、音楽は置いといて“なんか引かれる”存在でありたいので。続けていると、好きでやっている音楽に対していろいろ言われたくないと思う自分も、ファンが喜んでくれるという実感をすごく欲してる自分もいて…その両方を追い掛けようとして、一度、自分の中でねじれてしまったことがあったんです。でも、10周年を迎えたころから、誕生日は自分が祝ってもらうというより自分の両親に感謝する日っていう、そんな感情に近いんじゃないか? T.M.R.は自分だけのものじゃなく、みんなのものだから、自分がやりたいかどうかとか、何がやりたいとか言っててはアカンと。そう考えたらすごく気持ちが軽くなって、T.M.R.でやるべきことが明確になったし、いろんなことがより楽しめるようになったんですよね」
――15周年続けてきてよかったな、と思うことは?
「小学生だった子が大学に行って…自分はこういうこと目指してます、とか、僕と一緒に仕事がしたくて頑張っています、って言ってくれる方たちと、時に交わることができたりする。その瞬間って、続けてきていないと味わえないことで。そういう人たちが、もうちょっと頑張ったら…って思ってくれた先に僕がもういなかったら、せっかくやってきたことが報われないですから。そういう瞬間があった時に、やめなくてよかった、続けてきてよかったなと思いますね」
――ニューアルバムはどんな仕上がりになっていますか?
「T.M.R.ってこうなんだ!っていう物だけを詰め込んだアルバムです。だから、昔は聴いてた、とかいう人にこそ聴いてほしい。今僕がやっているツイッターにも“昔は聴いてました”とか書いてくれる人もいるんですが、そういう人たちが抱くT.M.R.のイメージが、久しぶりに聴いたら変わってしまった…じゃなくて、まんまやん!(笑)っていうものを目指しました。今回はそこを突き詰めましたが、今後、コンスタントに活動していく中で、T.M.R.じゃないとできないよねっていう新たなこともやっていきたいです」
――アルバムを引っ提げたツアーでは大都市以外の会場にも多く回られますね。
「やっぱり、こういう節目を迎えられるっていうのは己の力ではなく、応援してくれる方たちがあってこそ。それは直接会いに行って目の前で言うから伝わるものだと思うし、こういう機会だからこそ、全国各地を細かく回って、そしてそれができるありがたさをちゃんとかみ締めながら、1つ1つの会場を楽しんで回っていきたいです。何よりオリジナルアルバムを抱えてのツアーなので、今動いているT.M.R.を見てもらうことが何よりの感謝の印じゃないかなと思うんです。皆さんのお近くに行った時には、ぜひお越しください!」
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