――「unlasting」をつくる上でLiSAが一番考えたことは?
「私、いいバラードも、いい曲も本当にたくさんあるんですよね。もちろん、それは私だけの力でつくり上げたものではなく、いろんな人たちの力添えがあって生まれ育ったものなんですけど、そんな曲たちは、上書きされていけるものでもなく、それはそれですごく大切な曲たちなんです。それがタイアップ曲であっても、そうじゃなくても、古くても新しくても、全部同じくらい大切なもので、ずっと色褪せないものとして残っていくものなんです。だから、その曲たちと比べたくないという想いがすごく強くて。私自身が大人になって日々感じていることだったり、許せるようになったことだったり、美しく感じられるようになったり、いろんな“もの”や“こと”が、活動を続けてきたからこそ、大人になったからこそ出せるものを出していきたいなと思ったんです。そういう想いでつくったのが「unlasting」だったんです」
――なるほどね。ライブについて少し訊きたいんだけど、フェスでのLiSAとワンマンでのLiSAって、自分の中では違うの?
「ん〜、基本、纏っている服は同じです…いや、違うな。基本、中身は一緒です。だけど、“今日は赤かな”“今日は黒かな”って、その場にいる人たちを見て、自分を変えるって感じかな。誰と遊ぶかで、着る洋服を変えている感じ」
――フェスに出た時のアウェイ感はもうなくなった?
「ん〜、どうかな。慣れはしないかな。フェスとテレビはどうしても慣れない感じかな。ホームな感じはしない。でも、そういう場所で一生懸命に応援してくれる少数の人たちがいたら、その人たちを幸せにしたいと思って頑張っちゃうんですよね。フェスで聴いてくれた人たちが、次のフェスで見てくれるって、本当に少ないことだと思うから、せっかくその場にいてくれたなら、精一杯楽しんでもらいたいから」
――今、LiSAがやりたいことって?
「東京ドームでライブしたい!とか、そういう目標的なものはもちろんあるけど、今、本当にしてみたいなって思うのは、みんなと話せる時間と場所をつくりたい。一緒に旅をするとか。実現できないかもしれないことだけど、やってみたいなって思う」
――そこで何をしたいの?
「話をしたいの。みんなと。昔、幼稚園のお昼寝の時間に、先生が絵本を読んでくれたでしょ。あんな時間がつくりたい。みんなで集まって、みんなのお話を聞いて、みんなでそれを受け止めるの。そこで得るものってすごく大きいと思うから」
――LiSAのことだから、もらい過ぎてしまうと思うけどね。ちょっと心配。
「自分でもそう思います。でも、本当に一人ひとりに歌ってあげたいから」
(取材・文 / 武市尚子)
この記事の関連情報はこちら(WEBサイト ザテレビジョン)