'10年6月に現役を引退し、現在は一般社団法人日本バレーボールリーグ機構の職員として、日本のバレーボール界の発展を目指す活動に従事している、元バレーボール選手の大山加奈氏に、現在の活動、今後の日本女子バレーボールについて語ってもらった。
――現役を引退されてから、現在はどのような活動をされているのか教えてください。
「主に、VリーグのPRのために、Vリーグの開催地に出向いて、地域のメディアの取材を受けたり、バレーボール教室などを開催地で行ったりしています」
――悩まされていた腰痛が原因で現役を引退されたわけですが、バレーボールから離れたいと思うことはなかったのでしょうか?
「選手を辞める決断をして、次の道を考えた時に、やっぱりバレーボールに携わりたいと思いましたし、バレーボールに出会えたから今の私があるので、恩返しをしたいっていう気持ちが強かったです」
――3月末に全日本女子登録メンバーが発表されましたが、登録メンバーが発表されると全日本チームはどのような活動に入るのでしょうか?
「メディカルチェックやミーティングを行い、合宿を開始します。その後、長期の海外遠征や国内合宿を繰り返し、ワールドグランプリや秋の国際大会に向け、強化をしていきます。ことしは、オリンピックの出場権を懸けたワールドカップがあるので、そこにいかに照準を合わせるかが課題だと思います」
――今回のスパイカー陣をご覧になって思うことはありましたか?
「ことしは、'10年の世界バレーで銅メダルを獲得したメンバーに加え、サーブレシーブができる新鍋理沙、石井優希選手やサウスポーの堀川真理選手という新メンバーが加わり、一層パワーアップしていると思います。また、狩野舞子選手は大型のアウトサイドが少ないので貴重な存在です。イタリアでの経験を生かして大きく飛躍してほしいと思います」
――今回、セッターとして、新たに松浦麻琴、中大路絢野選手が選出されていますが、それに対して思うことはありますか?
「セッターは、キャリアや経験を必要とするポジションなので、経験・技術を兼ね備えている竹下(佳江)選手を超えることは非常に難しいことだと思います。でも、若くて素質のある選手が竹下選手と一緒にプレーすることで、学ぶことも多いと思います」
――前回に引き続き、荒木絵里香選手が主将に選ばれましたが、荒木選手は高校(下北沢成徳)、東レ時代の大山さんのチームメートでもありました。荒木選手のリーダーぶりをどう思われていますか?
「主将は、チーム全体のことを考えたり、気を遣わなければなければならないのですごく大変だと思いますが、そこにばかり気を取られずに荒木選手の最大の魅力である、負けん気の強さと熱さと気迫を前面に押し出していってほしいと思います!」
――また、後輩の木村沙織選手への思いも教えてください。
「木村選手は、ここ数年ですごく変わったと思います。意識が変わり、行動や発言も驚くほどしっかりしてきて、まさに、日本のエースだと思います。期待や注目も大きく、大変だと思いますが、コートの上で木村選手の笑顔がたくさん見られることを期待しています!」
――登録メンバーの中で注目の選手を教えてください。
「井野亜季子選手ですね。佐野優子選手からリベロの座を奪うことは簡単なことではないですが、あの持ち前の明るさはチームに必要だと思いますし、かなりの負けず嫌いでもあるので、個人的にぜひ頑張って欲しい選手です」
――では現在、被災地で支援活動を行われているようですが、被災地での感想、活動内容についても教えてください。
「4月の初旬には、ボールや練習着、シューズなどを持って、バレーをやっている子供たちを中心に、被災地に会いに行きました。現地の状況はテレビで見るよりも悲惨で、言葉が出ませんでした。でも、子供たちが笑顔をたくさん見せてくれて、バレー教室でも一生懸命練習に取り組んでくれました。正直、被災地ではバレーをしているどころではなく、止めざるをえない子供たちもたくさんいます。しかし、ボールを持った子供たちのキラキラした目をみたら、何とかバレーを続けられるサポートをしたいと思いました」
――最後に、全国のバレーボールファン、被災地の方へメッセージをお願いします。
「皆さんが愛するバレーボールというスポーツは1人ではできません。常に次の人がプレーしやすいようにパスを出し、みんなで協力し、ボールを落とさないようにつないでいくスポーツです。今は、このバレーで培ったチームワークを発揮して、みんなで力を合わせて乗り越えて行きましょう! 1日でも早く、日本中のみんなが笑顔で過ごせる日々が来ることを願っています」
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