いつも1人で本ばかり読んでいる、鈴原守。片思いの相手は、お隣に住む幼なじみの千代野綾。しかし、綾は1週間後に議員である父親の都合で東京へ引っ越すことを迫られていた。
「せめて、17歳の誕生日は、この街で迎えたかったな」。やり場のない綾の本音を聞き、守は思い切って告げる。「逃げましょう……っ!」。
綾の親友・山咲香織をはじめ、明るく人気者の緒形壮馬、ノリのいい阿久津紗希、秀才の本庄博人までもがこの逃避行に加わり、駆け落ちを夢見ていた守は拍子抜けするが、特別な夏の始まりには違いなかった。
もはや観光施設にも使われていない古い石炭工場を秘密基地に、ただ7日間、大人から隠れるだけのバースデー・キャンプ。それは、少年たちの精いっぱいの反抗。
だがその夜、工場に潜んでいたタイ人の子ども・マレットと出会ったことで、事態は想像もしなかった方向へ向かう。
不法滞在で入国管理局に捕らわれかけていた所を間一髪助けると、はぐれた家族を探しているのだと、守たちに打ち明けた――。
2日目の朝、今度は武装した入国管理局の職員が、マレットを連れ去りに、ハンマーを振りかぶり工場へ突入してきた。守は、仲間たちの協力の下、敵の撃退作戦を決行する。
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