さらに大東は千原と出会った当初、ひどく緊張していたと語り、こんなエピソードを披露した。
「ジュニアさんとの距離がまだつかめておらず、『ジュニアさんって、どんな人なんやろ』と思っていた1作目のスタジオ撮影の時、控室でいきなり『おいっ!』ってジュニアさんの怒鳴り声が聞こえたんです。ジュニアさんが買ったばっかりのiPhoneをマネージャーさんが落としたんですね。周りのスタッフもジュニアさんとの距離感がまだつかめてなかったから、その場の空気が一瞬ピリッとしたんです。
その空気に気付いたジュニアさんは、iPhoneを拾い上げ、マネージャーさんに『お前、りんご(※Appleのロゴマーク)欠けてるやんけ!』って言って笑わせ、場が和んだんです。それを見て『ああ、この人は優しい人なんやな』って思いました。あれは今も忘れられないですね。あの緊張と緩和が、ジュニアさんを物語ってて。あれがすべての始まりでしたね」と振り返ると、千原は「全然覚えてないわ~」と照れ笑いしていた。
また、過去10年間に放送された中で一番印象に残った作品について、千原は「やはり“地面師”がテーマの作品ですね。撮影している時は、まだあの地面師詐欺事件(2018年11月)が報道されてなかったですもんね」と、ドラマが現実を先取りしたことに驚いたという。過去にオレオレ詐欺、後妻業など実際の経済事件を題材にしてきたが、今回放送される2つの最新作「バイトテロの誘惑」「失われた絆」も、世間を騒がせたバイトテロ事件などを扱い、ドラマを見た人が詐欺の手口を知ることで、思わぬ悲劇に巻き込まれないよう警鐘を鳴らす。
一方、大東はそういったドラマの方向性について、「10年やってきて、『新・ミナミの帝王』でできることってなんやろなと、前半の5年くらいで模索してたんですよね。でもここ最近『新・ミナミの帝王』が今の社会の流れを反映していたり、むしろ先取りすることもあったりと、ドラマだからできるメッセージの発し方ってあるんじゃないかと思うようになりました。起きた事件にああだこうだとコメントするよりも、ドラマだからこそできる『心を刺激する何か』がある気がしています。今回の2つの話は、それがよくわかる作品だと思います」とアピール。
千原は「そこにいる誰が巻き込まれてもおかしくない事件を描いていて見やすいと思います。ぜひ見てください」と力強く締めくくった。
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