――柴田さん個人的な意見で構わないので、可能性を感じる芸人さんを教えてください。
しんぷる内藤とYes!アキト。でも、前回があるんでね。僕が名前を出した瞬間、駄目になるというジンクスもありますけど(笑)。しんぷるは、ネタの切り口ですね。カラスに乗ることをネタにしようとするセンス、発想はきっと1億3千万人が思いつかない。
あと、メロディラインがベタで、すぐ覚えられる。そういう見たことがないことをやってくれたところですね。アキトは、とんでもないパワー。ギャグは原西(孝幸/FUJIWARA)さんを見ているみたいで、ワード選びが強い。みんながまねしそうだし。まねしたくなるキラーワードが、ギャグの中にたくさんあるんですよ。
――柴田さんは「東京オーディション(仮)」(毎週月深夜2:40-3:10、TOKYO MX)の司会をしているので、名もなき芸人が売れていく過程を近い距離で見てきたと思います。
新鮮ですよね。売れてないから名前を知らないだけで、面白いやつはいっぱいいる、ということなんですよ。売れている人だけが面白いわけじゃない。今売れてる人たちも、最初は誰も知らない存在だったんですから。
――アンタッチャブルもかつては誰にも知られていない漫才師だったわけで。その時の励みは何だったんでしょうか?
励みっていうのはなかったんですけど、売れていく先輩を見たということでしょうね。その人の生活のレベルが変わっていく、今まで一緒に電車で帰っていたのに、車で帰るようになるとか。芸人さんで売れていったら車を買えるとか、うまい飯屋に行けるってことを、知らないわけじゃないですか、その頃の僕らは。でも、続けていて、面白い人には成果が出るというのを見て、唯一励みにしていましたね。「俺たちもそうなれたらいいな」って憧れの視線で見て。
――「成果が出た」芸人さんは誰ですか?
くりぃむしちゅーです。当時の海砂利水魚。近所に住んでいたのに、家が変わって、気がついたら、車がある。今までファミレスでしかおごってくれなかったのに、高い所に連れて行ってくれる、みたいな感じになるわけです。テレビ局に入る時も「くりぃむしちゅーです」って言えば「お疲れさまです」ってスッと通してもらえる。
――仲間が成功していく様子を近くで眺めている時は、どんな感情になるんでしょう。
「抜かしたい!」とは思わないんですよ。あんなふうになれると思ってないですから。知らないから。想像でしかない世界だから。
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