ハリウッドスターが信頼を寄せる“鬼才”デヴィッド・フィンチャーの映画はなぜ注目を集めるのか?<ザテレビジョンシネマ部>

2020/01/07 07:00 配信

映画

『パニック・ルーム』(c) 2002 Columbia Pictures Industries, Inc. All Rights Reserved.


また、新居に侵入してきた強盗犯たちと戦うはめになった母娘のサバイバルを描くサスペンス『パニック・ルーム(2002)』(1月14日[火]夜11:20 WOWOWシネマほか)では、母が娘を起こそうとして顔に水をかける場面を45回撮り直し。娘役のクリステン・スチュワートは今でこそ人気女優だが、本作の撮影時はまだ11歳。子役にも高いレベルを求めるフィンチャーの姿勢は、まさに完璧主義者と呼ぶにふさわしい。

『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』(c) Warner Bros. Entertainment Inc.


こうなると、演じる俳優も大変であることは想像に難くないが、それでも彼らはフィンチャーの才腕に信頼を寄せている。『ベンジャミン・バトン 数奇な人生(2008)』(1月15日[水]深夜1:00 WOWOWシネマほか)で主演を務めたブラッド・ピットはこう語る。「デヴィッドには映像に対するすばらしい目があり、カメラワークのバランスは彼にとって、もうそれしかないというものだ。それがまた最高だから、その結果、見事に練り上げられた作品が完成する。彼は彫刻家なんだよ」。

『ドラゴン・タトゥーの女』(c) 2011 Columbia Pictures Industries, Inc. and Metro-Goldwyn-Mayer Pictures Inc. All Rights Reserved.


当のフィンチャーは「撮影の98%は妥協だ」と口にするが、妥協のない残りの2%で、これだけの傑作を作り続けているのだから恐ろしい。鬼才の鬼才たるゆえんというべきか。いずれにしても、ますます目の離せない存在なのだ。

文=相馬学



アクションとスリラーが大好物のフリーライター。「DVD&動画配信でーた」「SCREEN」などの雑誌や、「シネマトゥデイ」「CINEMORE」などのネット媒体、劇場パンフレットなどでお仕事中。