――ご自身が演じたキャラクターの印象はいかがでしたか?
斎藤:シロウさんに拾われるところから“ヨシオ”が始まっているので、シロウさんとハルというこの三角形で生まれる空気の中で、このキャラクターが発芽していったらいいなというくらい、ゆるく(撮影に)入りました。結果的に、オフの時のリリーさん、沙莉ちゃんとの会話が役に乗っかってくるので、自分との線引きができない部分も生まれてきて、迷彩柄みたいになっていった感覚があります。
リリー:台本のキャラクターは自分から遠かったので、自分に寄せていきました。かといって、シロウさんみたいにポップな人生は送っていないと思いますけど(笑)。こういうふうに生きられたらいいなという、自分の理想のお気楽なおじさんみたいな感じです。
でも、知らないうちに、自分が普段思っていることをとっさに喋っているような、うかつな空気にさせられることがあったので、本来の自分がにじむ部分がありました。
――女性が多く出演される作品ですが、その点についてはいかがでしょうか?
リリー:娘が沙莉ちゃんということで、すごくやりやすかったです。彼女の“包容力のあるいい娘感”が半端ないんですよ。あの子がいることで、ちょっと浮世離れしたことをしても、リアリティーがあるというか。
結局、シロウは自分から手を下す人ではないんですよね。だから、女優さんにお任せしていて。シロウもヨシオも受動態の主人公2人なので。
斎藤:実際にペンションを経営されている方ともお話をさせてもらったんですけど、お客さんが“ドラマ”を持ち込むというのがペンションのリアルみたいなんですよね。しかも、その大半が女性で。
リリー:(本作のように)急に知り合ったヨシオが、いきなりペンションで働き出すというのは、ご都合主義に感じるじゃないですか。でも、よくあることらしいんですよ。僕らがロケ地に使っていたペンションのオーナーも、ヨシオみたいな人を延々と泊めていたことがあって。実際に、ペンションの人たちとお客さんが家族っぽくなるということも頻繁にあるらしいんです。ペンションの人は、「毎日、失恋した女性が来たり、いろんな人が来るから飽きない」と言っていましたね。
――続けようとすれば、題材には困らず、ずっと続けられそうな作品ということでもあるのでしょうか?
リリー:僕がフジテレビの偉い人だったら、今のうちに“THE MOVIE”は決めますけどね(笑)。本当に、また(撮影場所だった)山中湖に帰りたいんですよ。次は夏に行って、夏の山中湖を舞台に。
斎藤:あの数日間で、ペンションに本当に恋した感じがありました。
――細野さんへは、リリーさんが出演のオファーをされたそうですね?
リリー:細野さんは、(2019年が)50周年でたくさん働いていらっしゃったので、たぶん感覚がまひしていたんです(笑)。細野さんのおかげで、相当げたを履かせていただいているというか、細野さんがいることでお祭り感がある気がします。
斎藤:細野さんとは同じ空間での撮影はなかったのですが、お名前を聞いて、何かたぎるものがありました。“リリーさん×細野さん”という、視聴者としての好奇心もそこにあったので、本当にぜいたくな作品になったんじゃないかと思います。
この記事の関連情報はこちら(WEBサイト ザテレビジョン)